司会は、おぎやはぎ(小木博明、矢作兼)、劇団ひとりと局アナ(最近は女性タレント)。番組開始からこの間、おぎやはぎ、劇団ひとりのタレントステイタスは飛躍的に上がった。おぎやはぎは、オールマイティなタレントとなった。劇団ひとりは『陰日向に咲く』で小説家デビューを果たして、累計売り上げ100万部を突破。昨年末にゴールインしたV6・岡田准一と女優・宮崎あおいの共演で映画化もされている。それでもこの番組では、遊んでいる。
ロングセラーは、とにかく多い。エロに特化した大喜利の“オオギリッシュNIGHT”、1人の芸人を女性がディスる“マジギライ1/5”、コンビ芸人の信頼度を確認しあう“コンビ愛確かめ選手権”ほか、挙げれば枚挙にいとまがない。
スポットが当たるのは、芸人だけではない。グラビアタレント、セクシー女優や地下タレントなどは、失礼極まりない暴言で芸人勢からイジられる。体を張らされる。結果、おいしく光る。仕事が増える。その一方では、キングコング・西野亮廣やハライチ・岩井勇気、麒麟・川島明やバカリズムといった売れっ子も、ここでは闇と膿を吐き出す。そんなすべてが集約されているのが、“芸人マジ歌選手権”だ。マジ歌シンガーと命名された芸人たちが、歌と笑い、ダンスと演奏力、なりきりコスプレと寸劇を織り交ぜて熱唱するのだ。
昨年3月16日には、これまでのマジ歌ライブの集大成として日本武道館公演を実現。局の看板・注目プログラムをぶつけることで知られる元旦、テレ東は今年、“芸人マジ歌選手権SP”を16回目にして初めてぶつけた。その番組ラストで、5月31日に横浜アリーナ公演を開催することが発表された。
バナナマン・日村勇紀は、女装キャラのヒム子。今年は、安室奈美恵をパクろうとした痕跡が見え、「アムラー」ならぬ「ヒムラー」を名乗った。東京03・角田晃広はギター片手にガチ熱唱、初参加のカミナリとオードリー・春日俊彰はド緊張。ハライチ・岩井勇気は芸人界をバッサリ斬って、AMEMIYAとコラボ。バカリズムは星野源もどきの音楽に乗せて、自身の風俗体験をリアルに熱唱。そして、大トリの劇団ひとりは、事務所の先輩である片岡鶴太郎にふんして、ミュージカル仕立てで小馬鹿にした。
審査員のバナナマン・設楽統やヒャダインこと前山田健一、東京03の飯塚悟志、豊本明長らは、口に牛乳を含み、笑って噴出してはいけない。全員が吹いてしまった時点で、マジ歌は強制終了となる。シンガーは、猛練習した歌を完唱できないとあって、唇を噛む。
……というのは、一応のルール。しかし、同番組は、ルールなんて破られるために存在しているということを、皆が把握している。『ゴッドタン』は、さながら学校の放課後。芸人の息抜きの場、なのだ。