これの語源になったとされる妖怪が『通り悪魔』『通り魔物』とされる妖怪である。これらはぼんやりとした、心ここにあらずの状態の人間に取り憑いて心を乱し、災難に陥れるという。これに取り憑かれた人は無差別に人を襲うなどの話が報告されていたこともあり、これが転じて理由もなく起きた殺人事件とその犯人を『通り魔』と呼ぶようになった、との話もある。
また、沖縄には道が交差した所、辻や丁字路の交点には『辻神』という魔物が住んでおり、この魔物や魔物が放つ邪気にぶつかると災いがあるとされた。しかし、この魔物や邪気はまっすぐにしか動かないため、昔から沖縄の人達はそう言った辻に『石勘当』という魔除けの石を置いてはね返すようにしたという。
これらの共通点は、まさに『行き逢う』こと。いずことも無くさ迷ってぶつかった人に危害を加える、そんな存在が通りや辻には存在すると言い伝えられてきた。
これとよく似た事例が、なんと山口敏太郎事務所でも報告されていた。なんでも事務所の庭や2階の怪談脇の小部屋で「男の生首を見た」という社員が続出していたのである。ほんの1〜2件であれば気のせいと言えなくもないが、目撃者が増えてきたため一度霊感のある人に鑑定してもらった所、庭から繋がって事務所をぐるりと囲むような形で存在している通路と、階段には確かに何らかの霊がいた痕跡があったという。よく幽霊の通り道とされている“霊道”程の頻度ではないが、それとよく似た状態である、との鑑定結果であった。
事務所内で複数の人が目撃したという男の生首。これが事務所を通る“何か”の正体だったのか。それとも他にも何かいるのか。今のところこれ以上のことは解っていない。この霊が危害を加える『通り魔物』無いことを祈るのみだ。
(山口敏太郎事務所)