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新星・宮國椋丞が完封劇で思い出した 「元甲子園速球王」は今…

 20歳の新星・宮國椋丞が完封勝利を飾った(5月1日/対広島)。この日は“稀少なゴールデン・タイム”でのプロ野球中継が行われており、『将来のエース候補』のこの上ないお披露目となった。また、3日の同対戦カードでプロ4年目の笠原将生(21)が先発。勝利投手にはなれなかったが、原辰徳監督も試合後に「(チームの)編成上、ファームのリリーフと代わると思いますが、次に投げるチャンスが来る切符は手にしたと…」と、目を細めていた。
 しかし、両若手投手の好投で、思い出した投手がいる。05年・高校生ドラフト1位投手、辻内崇伸(24)である。

 辻内は昨秋のプロ・アマ交流戦で甲子園時代を彷彿させる150キロを投げ、オフはプエルトリコ冬季リーグにも派遣された。3月17日のオープン戦で“一軍登板”したが、対戦打者の鋭い打球がスネに直撃…。一軍昇格の好機を逃し、今季も二軍で悶々と暮らしている。後輩の宮國たちが好投した3日時点で、辻内は二軍戦8試合に登板し、防御率5.14。『投球回数は7イニング』だから、現在は先発ではなく、リリーバーとして奮闘していることが分かる。「リリーバー」と言えば、こんなこともあった。辻内が左肘の再建手術を受け、ピッチング練習再開の許可が下りた09年春季キャンプ中でのこと。ネット裏に陣取っていた数球団のスコアラーたちが、内野の連携プレーに入った辻内を見ながら、「中継ぎに専念させるんだったら、戦力になる」と“警戒”を強めていた。
 “未完の大器”が一軍デビューする日は近い−−。そう思ったが、スコアラーたちの言葉には『悪い意味』も含まれていた。
 あくまでも、その視察した当時のスコアラー陣の心象だが、「辻内は先発では通用しない」と見ていた。甲子園時代はストレートの速さで圧倒してきたが、言い方を換えれば、「相手を力でねじ伏せるピッチングしかできない」。球種も少なく、コントロールも決して良い方ではない。長いイニングは投げられない投手だと判断していたのだ。

 「中継ぎに専念させるのなら」の言葉には、変化球や緩急を取り入れたピッチングを今から教えるよりも、短いイニングに専念させれば、『長所(=速球)』が引き立つという意味も込められていた。

 試合前の練習を見ていると、「身体が硬いなあ…」と、ガッカリしてしまう。ルーキー時代からだが、前屈や股関節系のストレッチをするとき、いつも顔をしかめている。「身体の硬さ」も故障の原因ではないだろうか。
 巨人関係者によれば、宮國の完封の裏には「数日前に即興で覚えた2種類目のツーシームが功を奏した」という。握り方を少し変えただけらしいが、「発想の柔軟性」が感じられる。笠原にしても、昨季からパワーアップをテーマにしていたが、ウエイトトレーニングではなく、走り込んで高めた筋力だから「柔軟性」がある。宮國、笠原に共通して言えることは「力一杯」ではなく、「いかに効率良く身体を使うか」だ。

 故障した辻内の左肩、左肘は癒えているという。辻内がその素質を開花させるには『発想の転換』が必要なのではないだろうか。(スポーツライター・飯山満)

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