不謹慎な話に感じる読者もいるかもしれないが、なにせ危険な戦闘地域には女性があまりいないので、相手をしてくれる女性にはどうしても男が集中する。そんな環境で性病が発生すれば、たちまち部隊の大部分が性病もちになりかねず、衛生環境や兵士たちの健康状態が一気に悪化しかねない。実際、ベトナム戦争中に米軍や韓国軍が利用したとされる慰安所も、軍医の定期的な検診を行っていたにもかかわらず感染率は1000分の200に達し(1966年)ていたらしい。つまり5人に1人は感染していたというのだから、戦地における性病予防がいかに大変なことかが分かるだろう。
そうした事情は、もちろん第二次世界大戦中の日本とて同じこと。当時の日本軍は性病から兵士たちを護る目的で、公式のコンドームを支給していたという。その名も『突撃一番』。その名の由来については一説によれば、戦地で突撃の際には頭に「鉄帽」をかぶることと、女のアソコに突撃する前にアソコにコンドームをかぶせることをかけたものといわれている。誰が決めたか知らないが、ずいぶん粋なネーミングを考えたものである。
そんな冗談のようなネーミングからは想像もつかないが、このコンドームの使用はかなり厳格に定められていたそうで、性交の際には性病予防薬『星秘膏』と併せて用いるルールになっていたといわれている。真偽不明ではあるが、性病に感染した際には慰安所に行ったことよりもコンドームをちゃんと着けなかったことの方が怒られたという話もある。
ちなみに、突撃一番は陸軍専用で、海軍では同様に『鉄兜』という名前のコンドームが支給されていたといわれている。しかし、もっぱら話題にのぼるのは突撃一番ばかりなのは、やはりそのネーミングの妙によるものだろうか…。