ある程度折り込み済みの敗戦だった。スズカフェニックスはセントウルSで8着に敗れたが、陣営にショックの色はない。児玉助手はこう言い切った。
「いつも休み明けはそうなんだけど、体が減ってしまって、見た目から気配はいまひとつだった。それに、ゲートでも遅れを取ったし、開幕週の馬場でもあったからね。あれではああいう結果も仕方ない」
開幕週の馬場は圧倒的に先行有利。フェニックスほどの切れ味をもってしても、出遅れては晩回は難しかった。しかも、負担重量は58キロ。夏場に順調に使われていたカノヤザクラが快勝したことからも、休み明けの馬には明らかに分が悪く、秋競馬開幕戦というより夏競馬の名残りが色濃いレースだった。
もともと目標はこのスプリンターズS。使った効果はありありとうかがえる。児玉助手の言う通り、前走時は460キロ(8キロ減)と腹回りが寂しく映った。しかし、この中間はしっかり食べて、しっかり乗り込まれている。
「裸で470キロと体は戻った。使った後、2、3日はボーッとしていたけど、1週前の水曜日に追い切って、金曜日にゲート、また日曜日に追い切った。これでだいぶ気合も乗ってきた」とうなずいた。
9月24日の1週前追い切りは栗東坂路で800メートル54秒0、ラスト1F13秒0。ケイコ駆けする馬にしては平凡なタイムだが、その日は時計のかかる馬場状態だけに問題ない。
デキは文句なし。今回の最大のポイントは鞍上の交代だろう。主戦の武豊が凱旋門賞騎乗のため横山典へ。だが、これにも手は打ってある。
「調教のたびに乗り手をかえて刺激を与えている。これで戸惑うことはないと思う。とにかく、馬インフルエンザでぶっつけ本番だった昨年より数段いい。あのときはレース前からアカンちゅうという感じだったけど、今年は自信を持って挑める。弾みをつけたいね」
切れ味は現役屈指。久しぶりにその底力を見せるか。
【最終追いVTR】横山典騎手が栗東に駆けつけ、坂路で追われた。スタートからやや掛かり気味の走り。終いは完全にお釣りがなくなり、ラスト1F14秒5を要した。状態そのものは別として追い切りは失敗。馬に気持ちが入りすぎているのがレースでも懸念される。