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渋谷淳の渾身のローブロー

 悪夢のKO負けから半年あまり。不屈の男、前WBA世界フライ級王者の坂田健史(協栄)が14日、昨年の大みそか以来となる再起戦に挑み、韓国フライ級王者の全鎮万に判定勝ち。王座返り咲きに向けて新たなスタートを切った。

 良くも悪くも坂田らしい試合だった。前半は全のアグレッシブなファイトに手を焼き、強打を食らってヒヤリとする場面もあった。一転、後半に入ると、自慢のスタミナとキャリアの差を見せつけて一方的な展開に持ち込んだ。倒せなかったとはいえ、3-0の判定勝ちに文句はなかった。
 試合後、金平桂一郎会長は、WBC世界王者の内藤大助(宮田)、WBA世界スーパーフライ級王者の名城信男(六島)の名前をターゲットに挙げてみたが、今後の見通しは、必ずしも明るいとは言えない。
 まず内藤と対戦するというプランはかなり難しそうな気配だ。最近の内藤は「日本人とばかり対戦している」との批判を受けているし、協栄ジムと宮田ジムの関係も良好とは言い難い。また、本人は決して口にしないが、デビュー以来フライ級で戦っている坂田の減量は、かなり限界に近づいてもいるだろう。

 となるとスーパーフライ級に上げて2階級制覇という選択が浮上してくる。ところが名城の場合も、王座決定戦、初防衛戦と日本人対決が続いており、次戦では外国人選手との対決が有力。「世界王者であれば、だれでもいく」という金平会長の発言は、厳しい現実を物語っているのだ。
 考えてみれば、坂田のボクシング人生には常に困難が伴った。2度の世界挑戦を微妙な判定で落とし、3度目はフランスまで遠征し、これまた小差の判定でタイトルには届かず、4度目の挑戦でようやく世界タイトルに届いた。苦労はいまに始まったことではない。不屈の男は、どんな事態に直面しても、決してあきらめはしないだろう。

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