予選1位通過の小島聡や武藤敬司ら、全日プロ本隊の看板戦士が不覚を取る中、性悪男が春の栄冠をかっさらった。
コンディションは決して万全ではなった。今シリーズの小島戦で痛めた首を幾度となく攻め立てられ悲鳴をあげた。決勝進出を懸けた武藤戦では、ネックスクリューや首へのシャイニングウィザードを食らって苦悶。決勝でもカズ・ハヤシにジャーマンで投げ捨てられ、ピンチの連続だった。
みのるは首に大きなダメージを抱えながらも試合巧者ぶりで勝利をものにした。武藤戦ではプロレス界きっての策士を翻ろう。シャイニングウィザード3連発で追い込まれた絶体絶命の局面も、首を痛がる素振りでノラリクラリと攻撃を交わし、スキを見せた武藤をゴッチ式パイルドライバーを決めて逆転勝ち。
決勝でも巧みな試合運びだった。序盤は首攻撃に苦戦するも、カズのハンドスプリングを背後から捕獲して形勢逆転。スリーパーから逆落とし、ダメ押しのゴッチ式パイルドライバーにつなぐ必殺フルコースで、23分35秒の熱戦に終止符を打った。試合後は「改めて名乗るが、この俺が2009年チャンピオンカーニバル覇者、GURENTAIの鈴木みのるだ」と吠えた。
先シリーズ3・14両国大会では高山善廣が、グレート・ムタから全日プロの至宝、三冠ヘビー級王座を獲得したことに続く、みのるのCC制覇。GURENTAIはまたも栄冠を手にした。
CC制覇にみのるは「GURENTAIには三冠と俺の持ってるアジアタッグと世界タッグ…、全日本の10本のベルトうち9本がある。今回、俺がどうしても優勝したかったのは勲章を独占したかったからだ」と高笑いが止まらない。
例年ならCC覇者は3冠に挑戦する。だが、みのるは「チャンピオンカーニバルは三冠の予選会じゃねぇ」と拒否。王者の高山も「このトーナメントを価値あるものにするなら、すぐに挑戦するべきじゃない」と盟友とのタイトル戦は行わない意向を示した。
性悪男のCC制覇で、カズの持つ世界ジュニアヘビー級王座以外の勲章を、外敵GURENTAIが総ナメにした。春の栄冠獲りで勢いがついたみのるは、全日マットを牛耳る構えだ。