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日本相撲協会幹部が手のひら返し 10年ぶり日本出身力士優勝の琴奨菊の綱獲りに“注文”

 大相撲初場所(1月10日〜24日=東京・両国国技館)は、大関・琴奨菊(31=佐渡ケ嶽)が14勝1敗で初優勝を飾った。日本出身力士が優勝したのは、06年初場所での栃東(現・玉ノ井親方)以来、10年ぶりというおまけつきだった。

 今場所の琴奨菊は得意のがぶり寄りが冴えて、初日から連勝街道を突っ走った。10日目から、鶴竜、白鵬、日馬富士の3横綱を破って12連勝。13日目は、中学時代からのライバルである東前頭7枚目・豊ノ島に敗れたものの、その後2連勝して、堂々の初Vを遂げた。

 そうなると、がぜん注目を集めるのが春場所での綱獲りだ。ところが、その機運が盛り上がるどころか、日本相撲協会の幹部陣には、琴奨菊に対して、“冷めた空気”が流れているのだ。

 八角理事長(元横綱・北勝海)は「14勝1敗は立派。3横綱に勝ったのも大きい。内容もいい」と評価しつつも、綱獲りについては「これまで大関が長かった。来場所の内容次第じゃないか」と慎重。伊勢ケ浜審判部長(元横綱・旭富士)も、「これまで安定した成績がない。レベルの高い優勝なら、そういう声も自然と出てくる」とクールな言い回し。

 かつて、白鳳、日馬富士の2横綱時代には、大関・稀勢の里が優勝に準ずる成績を収めると、日本人横綱ほしさに、翌場所を“綱獲り場所”に設定。しかし、当の稀勢の里は2度ともチャンスをつかめなかった。

 その後、大関・鶴竜が14年初場所で14勝1敗と、優勝に準ずる成績を挙げると、協会は、これまた翌場所を“綱獲り場所”とした。その場所で、鶴竜は14勝1敗で初優勝を果たし、横綱昇進の内規である「2場所連続優勝、もしくはそれに準ずる成績」を満たして横綱に推挙された。これにより、87年(昭和62年)九州場所で昇進した大乃国(現・芝田山親方)以来、26年半ぶりに、「2場所連続優勝」以外での“不名誉な新横綱”の誕生となった。

 伊勢ケ浜審判部長がいうように、確かに琴奨菊には安定感がない。11年九州場所での大関昇進以降、優勝戦線にはなかなか絡めず。ケガも多く、5度のカド番を経験。先場所(15年九州)は8勝(6敗1休)止まりで、協会が琴奨菊の横綱昇進に慎重になるのも理解はできる。

 ただ、鶴竜の時はどうだったかというと、12年夏場所での大関昇進後、1ケタ勝利も多かった。昇進を判断する対象の前の場所(13年九州)は9勝しか挙げていない。それでも、協会の都合でラッキーな昇進を勝ち取った。

 「確かに、琴奨菊はケガが多く、安定感に欠くのは事実。ただ、14勝1敗での優勝は文句なしの成績です。本来なら、『来場所、優勝なら推挙』の声が出るべきです。ところが、協会の幹部連中は明言を避けています。理事長が替わったこともありますが、現状3人も横綱がおり、無理に増やしたくないのがホンネなのでは? 実際、鶴竜は期待外れに終わっていますし…。幸運だった鶴竜と比べると、琴奨菊がかわいそうですね」(某スポーツ紙記者)

 八角理事長や伊勢ケ浜審判部長の言い回しからいえば、来場所、優勝しても低レベルなら、推挙見送りの可能性すら出かねない。ならば、琴奨菊は誰からも文句を言わせない成績で連覇を果たすしかなさそうだ。

(落合一郎)

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