そんな佐藤亜美菜だが、決して恵まれたメンバーではなかった。4期生としてAKB48に加入し、2008年に正規メンバーになるも、選抜メンバーに選ばれたり、メディア露出する機会は恵まれず。ただ、そんな彼女は、劇場公演で所属チーム以外でも、欠員が出た時は積極的に出演。同グループの戸賀崎智信支配人からは「多重録画すれば、亜美菜だけで全てのセットリストDVDが作れるんじゃないか」と評価される存在となる。
そんな彼女を、ファンは決して見捨てることはなかった。第1回総選挙では、選抜常連メンバーと激戦を演じ第8位にランクインする。まさに、実力で選抜メンバーへの切符を勝ち獲った。ファンが選ぶという総選挙のコンセプトを象徴するメンバーとなった。しかし、同総選挙の選抜メンバーで担当する『言い訳Maybe』のPVでは、彼女が映像として残ったシーンはわずか1秒未満。このことで、彼女は“悲劇のヒロイン”と呼ばれるようになった。
また、その後の総選挙でも、第2回、第3回と18位になり選抜入りを果たすも、彼女が選抜メンバーになれるのは総選挙でメンバーを選ぶ時のみ。第4回総選挙では21位、第5回総選挙では33位となり、選抜メンバーに残ることはできなかったが、他のメンバーに比べてメディア露出が少ない彼女は、圧倒的に不利であり、簡単に人気が下がったとは言えないだろう。
今や国民的アイドルと呼ばれるようになり、多くのテレビ番組に出演するようになったAKB48は、他のタレントと同じように、メディアへの露出機会を増やせば、人気を作り、高めることが可能になった。しかし、それで、AKB48の基本コンセプトである劇場を支える佐藤亜美菜のような存在がクローズアップされにくくなったとなれば、AKB48にとっては大きな損失かもしれない。