この現象に最初に気づいたのは、海洋学者の辻維周氏。房総半島南端の野島崎にて魚介類調査を続けてきた氏によると、5、6年前よりコンパスの針が左右にふらつく現象が見られはじめていたが、2009年より日によっては南北が逆転する程に狂いが極端になってきたという。
2009年の調査では犬吠埼とその南に位置する長崎鼻で磁針の南北逆転が見られたが、太平洋に面する外房〜南房地域だけで東京湾内房などでは確認されなかった。
しかし、今年4月に行われた調査によると前回異常が見られなかった東京アクアライン「海ほたる」や市川PAにて誤差を確認。また房総半島北部でも大栄PAで東へ140度の誤差が、酒々井PAでは南北が逆転するという大きな狂いが確認された。これまで異常が観測された地域では倍以上の誤差を観測するなど、今年に入ってから房総半島周辺の地磁気異常は、深刻化の一途を辿っている。
これと関係があるのかはわからないが、東日本大震災の発生直後、東日本の各地で地球の磁場の現象が観測されていたことが、気象庁地磁気観測所の調査でわかった。
地磁気の変動は、地震の際に岩盤に大きな力が加わって生じるとも言われているが、大地震の前震とされる3月9日の地震では目立った変動は確認されていなかった。しかし一方で、地磁気増減の程度が沿岸の潮位変動の大きさと類似していたことから、震源近くの海底で膨大な海水が一気に動いたために地磁気変動の要因となったともみられている。
東日本大震災の数日前より、震源地上の海上で大気と電離層に異常が見られたというNASA研究チームの発表もある。
果たして、これらの異常は災害の前兆現象だったのか? 気象庁観測所の源泰拓主任研究官は、「今後、詳細な解析が必要」だとしている。