『WWE Live Japan TOKYO』(初日)
▽6月29日 東京・両国国技館 観衆 7,081人
世界最大のプロレス団体WWEが今年も日本にやって来た。今回は『スマックダウンLIVE』というサブタイトルもつけられ、WWEのロゴの赤いラインが青になるなど、スマックダウン仕様。もちろん選手もスマックダウンの所属選手に205 Liveの選手を加えた編成で来日。収録の都合もあり、スマックダウン勢が来日できるのは、日本時間の木曜の夜。試合は金曜と土曜に限られている。
今年の東京公演の目玉はAJスタイルズと中邑真輔のWWE王座戦だったが、直前に中邑が警察犬に噛まれて負傷し、ジェフ・ハーディーの持つWWE USヘビー級選手権への挑戦をキャンセル。凱旋すら危惧されていたが、前日に無事帰国し、取材にも応えていた。しかし…。
第2試合終了後、中邑のエントランステーマがヒットし、中邑が松葉杖を付きながら入場した。リングインし、マイクを握ると「帰ってきたぜ!トーキョー!こんな姿になって。僕にとっては2年ぶり。この両国国技館で、ザ・ロックスター、キングオブストロングスタイル、シンスケナカムラの、クリーンで正々堂々としたファイト(場内爆笑)を皆さまにお見せすることができなくて、本当に、悔しいワン!」と犬ネタを盛り込みながらあいさつした。
これにはさすがに、一部からブーイングも出ていた。さらにスピーチを続けているとサモア・ジョーのエントランステーマがヒットし、ジョーは中邑をマイクで挑発。すると中邑は「ジョー、ビコーズ、アイノースピークイングリーッシュ!(英語は話せない)」とWWEユニバース(ファン)と大合唱。これにキレたジョーは「ホントに?」と日本語で答えると、中邑の足を蹴り上げ倒すとスリーパーで締め上げた。ここでAJスタイルズがリングに現れ、ジョーの挑戦を受諾しメインのカードが変更されることが決まった。
AJ対中邑がまた日本で見られるという期待があっただけに、若干の不安はあったが、WWEユニバース(ファン)はどんなカードになっても楽しもうという気持ちで会場に足を運んでいる。メインが始まる頃にはカード変更によるアレルギーはほとんどなかったように見えた。そして、代替カードというにはあまりにも壮絶な試合をAJとジョーがジャパニーズスタイルで応えてくれたのも大きい。
ジョーのパワーは故・橋本真也さんを彷彿とさせた。2人とも日本マットでの経験もあるだけに、レスリングの攻防も見応え十分。最後はマッスルバスターを狙ったジョーに対し、AJはエプロンに着地。見事なタイミングでフェノメナール・フォアアームを決めて3カウントを奪取。両国国技館への凱旋マッチを最高の形で締めた。
初日のベストバウトは、ダニエル・ブライアンとザ・ミズのシングルマッチではないだろうか。第4試合にラインナップされたこの試合は、ブライアンのジャパニーズスタイルにミズがアメリカンスタイルで渡り合い、中身の濃い試合に。ブライアンはインディアンデスロックからそのまま回転してフォールを狙ったり、ミズの攻撃を首4の字固めで切り返すなど、テクニシャンぶりを発揮した。
最後はミズがローキックを連打したが、ブライアンがドラゴンスクリューからバズソーキックで倒し、ニープラスを発射。これを避けたミズが必殺のスカル・クラッシング・フィナーレを仕掛け、フォールしたがなんとカウントは2。勝機と見たミズはブライアン目掛けて走り込むが、ブライアンはカウンターのジャンピングニー・プラスをベストタイミングで炸裂させて、21分52秒の激闘を制した。YES!!コールが久々に日本でも響き渡った。
その他、アスカはナオミとのコンビで快勝。ルーク・ギャローズ&カール・アンダーソンはスマックダウンタッグ王座奪取にあと一歩のところで失敗した。軽量級ブランド205 Liveで、クルーザー級王座に狙いを定めヒールに転向したヒデオ・イタミはヒールファイトを封印し、古巣ノア時代のKENTAスタイルで、元鈴木軍で格上のシェルトン・ベンジャミンと対戦して金星をゲット。王座獲りと丸藤正道とのライバル対決(9月1日、ノア両国大会)に向けて弾みをつけた。
取材・文 / どら増田
写真 / 垪和さえ