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キャンプ・オープン戦中間報告「北海道日本ハム」 先発4番手以降は未知数 斎藤は使わざるを得ない

 人、人、人…。今シーズンの主役・斎藤佑樹(22=早稲田大学)の入団により、キャンプ観戦者、マスコミの人数が一気に増えた。新庄剛志が日本ハムいりしたときも凄かったが、観戦者数だけなら、今年の方が上だろう。

 沖縄キャンプは「フリー泣かせ」でもある。2〜3月は修学旅行シーズンでもあるという。大手マスコミはしっかりと現地入りする記者分のホテルを抑えられるが、基本的に1人で動くフリーは「割安ホテルのキャンセル待ち」をしなければならない。それが斎藤というスター選手の日本ハム入りで、さらに厳しくなった。

 その注目の斎藤は、どれくらいやってくれるのか−−。先発ローテーション入りすれば、25試合前後の登板機会が保証される。オープン戦終盤は公式戦を想定した展開が繰り広げられている。そのなかで結果を出したのは頼もしい限りである(3月7日時点/4試合7イニング無失点)。確かに、変化球を低め、外角に集め、打ち損じを誘う投球は、新人とは思えない。だが、「斎藤はまだ本来のピッチングが出来ていない」というのが、専門家の意見だ。筆者も高校、大学時代の試合を全て見たわけではないが、ストレートはもっと速かった。ストレートが走っていない理由は「プロ1年目」、それも日本中からの注目による重圧で、コンディションが落ちているからだろう。また、「今の投球フォームでは厳しい」と指摘するプロ野球解説者も多い。
 しかし、今の日本ハムのなかで斎藤を蹴落として先発ローテーションに食い込んでくる投手が見当たらないのだ。斎藤は実戦のなかで「ストレートのキレ」を取り戻し、同時に投球フォームの改良も行っていかなければならないのではないだろうか。

 先発6人は、ダルビッシュ有(24=12勝)、武田勝(32=14勝)、ケッペル(28=12勝)は『当確』だろう。昨季終盤、リリーフから先発に転向したウルフ(30)、前巨人・オビスポ(26)、新人の乾真大(22=東洋大)、06年新人王の八木智哉(27)、糸数敬作(26)といったところが、斎藤同様、4番手以降の候補だ。はっきり言って、4番手以降は“未知数”である。2年目の中村勝(19)が伸びてくればいいのだが…。解雇・トライアウト受験から『再契約』を勝ち取った多田野数人(30)にも一抹の不安は残る。先発スタッフを見る限り、日本ハムは苦しいシーズンになりそうだ。
 昨季58試合に救援登板した建山義紀の退団はあったが、宮西、榊原、菊地、林らの救援陣は存在だ。また、「先発陣の人材不足」を好機と捉えるならば、抜擢される可能性が高いのは、ドラフト6位の新人・斎藤勝(23)だと思う。左腕で、187センチの長身。長身から繰り出される『角度のある投球』は04年夏の甲子園時代にもクローズアップされたが、社会人野球で鍛えられたのだろう。「高めのボール」にも威力が感じられた。さらに、胸元から太股のあたりまで落ちるスライダー系の変化球は、従来の左投手には見られなかった軌道だ。スピードは際立って速くないが、打者手元でホップする。バストラインに来たと思ってスイングしても、ホップするので対戦打者は苦戦させられるだろう。この高めのストレートは、凡フライ・アウトを稼げる。もっとも、本塁打献上の危険もあるが、広い札幌ドームなら連発されることはない。
 乾は大学時代、救援の経験も持つという。第一印象は、ブルペン投球でも“ギラギラ”している投手だということ。闘争心を顔に出すタイプである。変化球の持ち球も豊富だとは聞いているが、セットアッパー、ストッパーのように「打者と1対1で勝負させた方」が面白いと思った。

 打撃陣では、陽岱鋼(24)の使い方がポイントとなりそうだ。昨季はチーム事情もあって外野手としてスタメン出場する試合も多かったが、二塁手・田中賢介(29)の故障。さらに、4番を予定していた小谷野栄一(30)も戦線離脱となり、内野手の編成が難しくなった。オープン戦では「1番・サード」で陽をテストしていたが、当初、梨田昌孝監督(57)は『2番バッター』を欲していた。その2番候補の「テストしてみたい1人」が陽だったわけだが、打線の中核である田中、小谷野が開幕に間に合わないとなれば、その役目も変わってくる。個人的には右方向への打撃、犠打など制約の多い2番よりも、1番の方が陽に合っていると思う。過去のキャリアから2番の適任者を見つけるならば、オフに右肘にメス入れた二岡智宏(34)だろう。小谷野の離脱による『代役4番』は、新加入のホフパワー(31)か、中田翔(21)を抜擢するものと思われる。ベテラン・稲葉篤紀(37)は健在。糸井嘉男(29)、昨季104試合に出場した杉谷拳士(20)、守備のスペシャリスト・飯山裕志(31)など、実力派も多い。田中、小谷野の早期復帰が望まれるが、ペナント前半戦は選手の好不調を見極めながら、打線を変えていくことになるだろう。

 昨季はベストメンバーで臨めない試合の方が多かった。それでも、ペナント後半に巻き返したのはフロントの力だろう。村田和哉(25)、大平成一(21)など、スピード感のある若手が控えているのを見せられると、戦力編成、選手補強の巧さが再確認できる。“やや人材不在”の先発投手にしても、斎藤以下、4番手以降が実績を積む来年以降は、解消されるだろう。日本ハムは来季以降の中期ビジョンを見据えた球団ではある。今季は厳しい展開も予想される。「厳しい」とは言っても、Aクラスに滑り込むだけの力は存分に持っているが…。(スポーツライター・飯山満)

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