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「渋井哲也の気ままに朝帰り」 キャバ嬢が嫌いな客の振る舞い

 「どんなお客さんが嫌いなの?」

 私は時々、新人のキャバ嬢にこんな質問を投げかける。多くの嬢たちは、こんな答えをする。

 「まったく話さない人が苦手です」

 たしかに、新人の嬢から見れば、お客さんから話題をふってほしいものです。特にこの業界に入ったばかりのときは、何を話していいかわからないのも当然です。

 ただ、そんな話を聞いたら、いたずら心が産まれるものです。私はこう切り出します。

 「じゃあ、いまから5分、黙っておくから、ずっと話してみて」

 「えーっ、そんな…」

 困った表情もかわいいものです。で、一生懸命に「何を話そうかな」と考えている姿も、特に萌えてしまうことがあります。

 「きょう、私、こんなことがあったんですよ」

 と、少ない引き出しから、あれこれ話題を提供しようとします。しかし、どこまでプライベートをさらすべきか、作ったキャラを演じるものか、意識的にか、無意識にか、駆け引きがはじまったりします。

 でも、新人の嬢の場合は、たいていは話が続きません。そのため、2分もたたないまま、私が話し出してしまうことが多いのです。

 というよりは、私が話したいだけなのかもしれませんが…。

 ただ、「話したい」と思うのなら、それはそれでいよいのですが、「なぜ、金を払っておいて、こっちが話して、女の子にサービスをしなければいけないのか?」と思ってしまうと大変です。その嬢が新人だろうが、ベテランだろうが関係ありません。

 ほんと、客というのはわがままで謎な存在なのです。

 そういえば、最近、初めて行ったお店で聞いた話です。私が入店してから30分ほどが経ったときでした。隣に座っている嬢が、あるお客さんを気にしているようでした。

 「どうした? あの人、お気に入りなの? それとも指名客?」

 「いや、違うんです。常連さんなんです。あの人は毎日のように来るんですが、誰も指名しませんよ」

 常連で、指名嬢がいないのは、店についている客ということか。

 「でも、あのお客さん、女の子には嫌われてます」

 「どうして?」

 「説教して帰るんです。この前、私も怒られました。『なんでそんな格好してるんだ』『大学生のくせに、どうしてこんなところで働くんだ!』って」

 そういうお客さん、キャバクラに限らず、風俗店でも、いるといいますよね。風俗の場合は、プレイを楽しんでからの説教が多いということを聞いたことがありますが。

 この店は制服があるので、「そんな格好」は、嬢が好んで着ているというよりは店のスタンダード。さらに、「大学生のくせに」といっても、他の、店よりは大学生が多いのを知っているはずです。つまり、この店の「ウリ」に文句を付けて帰っている、ということになる。

 女の子にいじわるをしたい心はわからなくはありません。しかし、そこには愛嬌も必要ですし、いじわるだけでは本当に嫌な客になってしまいます。いじわると同時に、かわいがらないと、そもそも店に行く意味ってなんだろうか、って思ってしまいます。

 え? 私も愛嬌がない? もしかして、私も嫌われているかもしれません。気をつけないと。

<プロフィール>
渋井哲也(しぶい てつや)フリーライター。ノンフィクション作家。栃木県生まれ。若者の生きづらさ(自殺、自傷、依存など)をテーマに取材するほか、ケータイ・ネット利用、教育、サブカルチャー、性、風俗、キャバクラなどに関心を持つ。近刊に「実録・闇サイト事件簿」(幻冬舎新書)や「解決!学校クレーム “理不尽”保護者の実態と対応実践」(河出書房新社)。他に、「明日、自殺しませんか 男女7人ネット心中」(幻冬舎文庫)、「ウェブ恋愛」(ちくま新書)、「学校裏サイト」(晋遊舎新書)など。

【記事提供】キャフー http://www.kyahoo.jp/

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