僚馬アロンダイトが先週のJCダートを制覇。偉大なる先輩に続けとばかり、今週はアストンマーチャンが2歳女王の座を目指す。デビュー戦こそ2着に敗れたものの、未勝利→小倉2歳Sを難なく連勝。軽快にステップアップしていった過程ひとつ取っても厩舎での前評判は相当高かった…と推測されるが、石坂師から返ってきた答えは意外や意外だった。「勝ってはくれていたけど、正直言って半信半疑。2歳Sのときだってイライラしていてね。こんなんで競馬になるんかと思ったほど」。小倉で頂点を極めた後に放牧に出したのも、「前哨戦(ファンタジーS)まで充電? とりあえずお金を稼いでくれたから」と辛口評価は続いた。
そんなマーチャンに対する陣営の見方が劇的に変化したのは前走のファンタジーSだった。石坂師は「帰厩したら体の形、走りのフォームが変わっていたんや。それに、えらく落ち着いていたしね。ただ、そんだけ変わられると、それがいい方向に出るのかどうか逆に心配やった」と当時を振り返るが、結果的に“いい方向に”大変身を遂げた。
レースは2番人気イクスキューズをマークするように、道中5番手から。最初の1F以外は11秒台のラップを刻む速い流れとなったが、それを難なくついて回ると上がり3F33秒6の末脚を披露。最後はほぼ流す余裕を見せ、2着以下を5馬身ぶっちぎった。時計も芝1400m1分20秒3と“超”がつく優秀さ。2歳レコードのおまけ付きには指揮官も「えっらい強かったな」とただただ舌を巻くばかりだった。
1週前追い切りは、坂路800m52秒6→38秒0→12秒4をマーク。キビキビとしたフットワークは目立っており、石坂師は「15-15で下ろして終いだけ気合をつけさせた。追い出してからグッと頭を下げて、いいフォームで走っていたね。いい感じですよ」と順調な調整ぶりに目を細めた。「1F延びてペースが落ち着くから折り合いがどうかだけど、この前の競馬を見たら大丈夫。体もナンボか増えてると思うし、テンションも上がってないからね。ちぎってレコード勝ちをしたような馬なので、開幕週のきれいな馬場も問題ないでしょう」
今開催からリニューアルオープンとなる阪神競馬場は、フレッシュな新2歳女王の誕生を祝うには絶好の舞台となりそう。ここを勝って桜のタイトルに早くも王手をかけそうだ。