それにしてもあまりにも疑問が残る転落事故であった。場所は病棟の非常階代わりのスロープの下。後頭部から3m下のコンクリートに落ちて、彼女の意識はすでになかった。自殺志願者が3mの高さから飛び降りるというのも腑に落ちない。かといって過失で転落することも、まったく考えにくい。ここで大きな疑問が湧いてくる。坂井の所属する事務所では、即座に対応してHPでコメントしている。
〈病室に戻る途中、階段の踊り場を通った際、前日の雨により足を滑らせて転落して後頭部を強打したことが、直接の死因となりました〉
警察さえ、事故原因を解明できていないというのに、事務所の対応は、事故原因の原因があまりにも明快だった。そして所属事務所では、こうもHPでコメントしている。
〈故坂井泉水は、昨年6月子宮頸がんを患い、都内病院に転入退院を繰り返しながら、闘病生活を送っておりました。摘出手術により一時は回復に向かっておりましたが、子宮頸がんの肺への転移が認められて、今年4月に再入院を余儀なくされました〉
すでに彼女のがんは、リンパを通じて全身に転移、すでに末期を迎えていたのでははないかと考えられる。
最近のがん患者は、がんの情報をかなり知り尽くしている。このため病院側では、告知せざる得ないケースが多い。しかしながらがんを告知されたタレントは、過去の例を見ても、呆然として生きる希望を失うケースが多い。坂井さんの場合にも、告示されて生きる希望を失ったことが、大いに考えられる。
実は慶応病院側は、自己報道に対してマスコミに否定的なアプローチをしている。事故ということになれば、病院側の原因による死亡事故につながり、遺族や事務所からの膨大な損害賠償請求を起こされてもおかしくない。さらに病院としての管理体制に不備があるとなれば、病院の信用にも関わる。警察も自殺の疑いが強いと見ている。
それにしても、坂井さんはまだ40歳、これからという若さでもあった。4月27日に「ZARD/坂井泉水さんを偲ぶ会」が青山葬儀所で行われる。