A:再生医療という分野があります。再生医療では「幹細胞」を扱い、それを利用して臓器を作ったり、組織の修復をしていこうとします。
幹細胞とは、分裂してさまざまな細胞に変化することができる全てのもととなる細胞で、ヒトの体内にもともと存在しています。病気の箇所(損傷した組織)を修復したり、健康維持のための働きをしています。
その特徴は、自分自身が増える「自己複製能」と、変化して体の中のあらゆる細胞に変わる特別な能力(多分化能)の両方を備えていることにあります。幹細胞は、赤ちゃんの体内に多く、加齢とともに減少していきます。病気や不健康な生活習慣でも減少していきます。それがさまざまな病気発症の一因になり、老化を促進する因子となります。
●不健康な生活をやめ、醗酵食品を摂取
そこで、病気治療やアンチエイジングにこの幹細胞を利用した再生医療が期待されており、臨床応用も始まっています。
現段階で実用されているのは、ヒトの脂肪組織から取り出した幹細胞を増やして体内に投与する方法や、さい帯血から取り出した幹細胞を投与する方法です。血液中の幹細胞を増やすことができれば、健康維持のみならず、アンチエイジングにも最適です。
治療で投与された幹細胞は、体内を循環し修復箇所を自分で見つけます。すると、体の設計図を取り寄せ幹細胞自身が傷んだ臓器に変化します。
実際に、がん、白血病、アトピー性皮膚炎、アルツハイマー型認知症、パーキンソン病、脳梗塞、糖尿病、骨粗鬆症、その他あらゆる難病に対し改善効果を認めた研究報告があります。
私のクリニックでも、この幹細胞投与を治療に取り入れていますが、健康保険は適用になりません。お勧めしたいのですが、かなりの費用がかかります。
そこで、家庭でできる自分の幹細胞を増やす方法を紹介しましょう。
一つは「入浴により体を温めること」です。自分の体内からヒートショックプロテン(HSP)というたんぱく質が出る38.5℃まで体温が上昇すると血液中の幹細胞は増加します。
また、味噌、納豆、ぬか漬け、キムチなどの「発酵食品を好んで食べること」も有効なようです。
首藤紳介氏(表参道首藤クリニック院長)
久留米大学病院小児科、大分こども病院、聖マリア病院、湯島清水坂クリニック等の勤務を経て、表参道首藤クリニック院長。自然療法や代替医療をはじめ、水素温熱免疫療法や再生医療(臍帯血幹細胞治療)などの高度先進医療を実践。