4-3の劇的な逆転勝利。ガーナ戦は見る側にとっては非常に面白い試合だった。日本は0-2の劣勢から中村憲剛(川崎)がゴールし、反撃を開始した。一度は1-3にされたが、玉田圭司(名古屋)、岡崎慎司(清水)、稲本潤一(レンヌ)が5分間で立て続けに3点を奪った。
それも最終予選の定番だったセットプレーではなく、すべてが流れの中のゴール。オランダ戦の後、岡田武史監督が「攻撃の迫力が足りない。サッカーの原点はゴールだ」と強調し続けたことに、選手が応えたのだ。
だが「途中までは相手にナメられていると感じた」と本田圭佑(VVVフェンロ)が言うように、ガーナの速さと強さは凄すぎた。球際で終始日本を圧倒。ギャン(レンヌ)の2点目も、日本最高のDFといわれる中澤佑二(横浜)がいとも簡単に振り切られたもの。その差は埋めがたい。
彼らは6日にアクラでW杯予選を戦って、本大会出場を決めたばかり。体調万全とはほど遠いチームにこれだけ叩かれ、2戦連続3失点とズタズタにされたことは、大きな衝撃というほかない。
「身体的な強さは本大会までには向上させられない。その分、走力や技術を上げ、人数をかけて組織で戦うこと。それが日本が上へ行く道」と欧州8年目のベテラン・稲本も言うが、その道のりはかなり険しそうだ。
しかも、この日は中村俊輔(エスパニョール)が負傷の影響から精彩を欠いた。エースとの確執が注目された新星・本田もラスト20分出ただけ。2人の共存は叶わず、彼自身、点に絡む仕事はなし。「本田はもっとできる」と指揮官はかばうが、本人にいつもの威勢のよさは見られなかった。
このように不安材料を挙げたらキリがない日本。4強進出は夢物語で、1次リーグ突破もハードルが高そうだ。南ア本番までわずか9か月しかないだけに、今回のギリギリの勝利を何とか起爆剤にしたいところだが…。