現3歳のダート路線では他の追随を許さなかったサクセスブロッケンは、前走のJBCクラシックで初めて古馬に挑んだ。それも、国内GIでは無敵の強さを誇るヴァーミリアン相手に真っ向勝負に出た。「古馬との差を把握できたのは収獲だった」。こちらも若き敏腕、藤原英調教師は冷静に振り返った。その横顔には世代交代の自信が垣間見える。
絶対王者の国内GI6連勝を阻むことはできなかった。しかし、クビ差2着という結果は、勝ちにも等しい濃密な内容だった。スタート直後にトモを滑らせながら、園田の深い砂をものともせずハナへ。目標にされる不利をあえて引き受けた。直線ではいったん引き離されながら、ゴール前で差し返してきたしぶとさは、次代王座への有資格者であることをはっきり示した。
「道中、ぴったりマークされながらあれだけやれた。その後は1回使って馬の中身がかなり違ってきた。動きはさらに良くなっている」
休み明けの反動など心配いらない。激戦の記憶はしっかり刻まれ、ブロッケンの血肉へと昇華した。栗東CWコースで行われた1週前(11月27日)の追い切りでは6F82秒5、ラスト1F12秒4(一杯)をマーク。500キロを超える馬体は引き締まり、冬場というのに輝いて見える。実際の時計以上に迫力が伝わってきた。
「秋になってしっかり調教できるようになったのは何よりだね。前走以上の状態で送り出せる。ヴァーミリアンとは前走の2キロ差から1キロ差になる。そのあたりは半信半疑だけど、阪神ならゆったり競馬ができるし、こちらにはまだまだ伸びしろがあるから」と、トレーナーはあくまで冷静。
過去にはクロフネ、カネヒキリが3歳の身で頂点を極めた。実は、鞍上の横山典騎手はこの2頭が勝った2001年と05年、そしてヴァーミリアンが制した昨年と2着が3度ある。たまりにたまった今度こその思い。それを胸に、逆転の一撃を狙う。
【最終追いVTR】松田騎手を背に坂路入り。クビを巧みに使ったリズミカルなフットワークは依然、健在。ゴール前で目いっぱいに追い出されると、800メートル51秒9の好時計を叩き出した。前走時に比べて体がグッと引き締まり、気合乗り、息遣いともに上昇。追ってからの反応も抜群だ。