大学に通いながらキャバ嬢として働いていた藍子(仮名・23歳)は卒業後、一般企業に就職。そして昨年、就職後に出会った男性と結婚し、夜の仕事を棄てた。専業主婦となった今も、旦那にはキャバで働いていたことは話していないという。
「結婚してからはキャバを辞め、旦那の稼ぎだけが頼りになっています。正直、今の生活は経済的に厳しいため、キャバ時代は多くのお金がもらえてよかったなと思うときはありますね」
専業主婦となった藍子はキャバ嬢時代のように、好きなものを好きなだけ買うという生活は送れなくなった。そのため生活は厳しくなり毎月赤字、食費は月に2万円ほどでやりくりしているという。客との同伴も多かったキャバ時代の藍子は、高級イタリアンや、テレビでしか見たことのなかった大きなフカヒレなど豪華な料理を定期的に味わっていた。だが今はそんな贅沢もできず、一人で過ごす時間も多い。経済的にも潤っていたあの頃に戻りたいとは思わないのだろうか?
「確かにキャバ嬢時代はお金の面では満たされていました。しかし本当に好きな人と一緒になってみて、心が満たされているのは今だと感じます」
キャバ嬢時代、いくら客から熱烈なアプローチを受けても藍子の心に響くことはなかった。会話の中身もほとんどなく、こういうリアクションをすれば相手の客は喜んでくれるだろうという術ばかりが身につき、純粋に客と向き合うことができない日々。さらに仕事においても指名を取り、同伴もしなければならないというプレッシャーもあったため、藍子の心には、ぽっかりと大きな穴が開いていたという。
「やっぱりお金がなくても、本当に好きな人と過ごす時間を大切にしていきたいです。だからもうキャバに戻ることはありません」
お金がなくても愛情で繋がった生活を選んだ藍子。今後も専業主婦として旦那を支えていくという。
(文・佐々木栄蔵)