6・20大阪大会でノア杉浦貴を迎え撃つも、五輪予選スラムに沈んでしまった後藤。結果的にはあの敗戦によって、外敵の杉浦に20日の札幌大会で行われる王者・棚橋弘至とのIWGPヘビー級タイトル挑戦権を与えてしまった。
「大阪の試合後はみんなと一緒に巡業バスで帰れませんでした。絶対に負けちゃいけない場面でしたから、あの敗戦後は正直ひとりで新幹線に乗って帰りました」。無念の3カウントを献上し、失意のドン底に突き落とされ、試合後は「みんなに後ろめたい気持ちがあって言葉が出なくなった」ほどだ。
大失態の代償は大きかった。「俺が試合後に控え室に戻ると『オマエは大阪から走って帰れ』っていう雰囲気だったし、最近は会社の人からの冷ややかな眼差しも感じて事務所にもいけない。あれから事務所に経費精算にも行けてないし、いまだにモヤモヤが取れません」。新日の看板を背負って立った大阪の大舞台でノア戦士にお株を奪われ、醜態をさらしたことにより、いまなお敗戦を引きずったままという。
まさに勝てば官軍、負ければ賊軍。荒々しさを失った荒武者ならぬ落武者は、次期シリーズ開幕戦で同じ6・20大阪大会でノアとの対抗戦に敗れたヤングライオン岡田との一騎打ちに臨むが「こういうカードが組まれたこと自体が、ボクに対する会社からの評価なんでしょう」と落胆しきりだ。
「どう会社に償いをすればいいのか。このカードは自分への戒めだと思ってボクはここからやり直すしかないのでしょうか…」。昨年は真夏の祭典「G1クライマックス」で初出場初優勝を成し遂げた後藤だが、夏本番を前にいま荒武者にあの勢いはない。