本当に大連立は“やれんのか!”。
これまで旧PRIDEと競合関係にあったK-1やHERO'Sの興行主FEGはこの日、都内ホテルで大みそかにPRIDE最終興行として開催する「やれんのか!」に全面協力することを電撃表明。FEGの谷川貞治イベントプロデューサー(以下=EP)が元PRIDE統括本部長で「やれんのか!」の高田延彦統括本部長とガッチリ握手した。
近年K-1とPRIDEがライバル関係にあったのは言うまでもない。2002年大みそかの「Dynamite!」以後は交流することなく“国交断絶”していた。いわば5年ぶりの雪解けを果たした2大メジャー。会見では谷川EPが「PRIDEとはいろいろありましたが、格闘技界を盛り上げるために一致団結する」と“タッグ結成”の経緯を説明した。
歴史的和解は大みそかの決起だけに留まらない。「いまの格闘技界は大連立する必要がある」。そう考える谷川EPは「来年以降にここから新しいコンテンツを生み出す良いきっかけになればいい」と来年をメドに多くの格闘技団体が集結する新コンテンツ設立を目指していることも明らかにした。
2大メジャーの共闘でもちろん夢カードも続出する。第一弾カードとして発表されたHERO'Sミドル級王者のJ.Z.カルバンvsPRIDEライト級の無敗男・青木真也を筆頭に、今後は参戦が決まっているエメリヤーエンコ・ヒョードルとK-1勢の対戦が見込まれる。
大連立による特需はそればかりではない。谷川EPによれば「あくまで希望ですが、僕としてはダイナマイトとやれんのかを両方ともテレビで同時に放送してもらいたい」とのこと。大みそかにTBSで放送される「Dynamite!」に加え、「やれんのか!」も同時に二元中継してしまおうというのだ。
しかし、その一方で懸念材料もある。FEGが「Dynamite!」と同日開催の「やれんのか!」を共催することで、肝心のTBSは戸惑いを隠せないのだ。あるTBS関係者は「われわれはダイナマイトに『K-1オールスター』が来るとだけ聞いているわけで、そこをお願いしたい。『やれんのか!』に目玉選手を持っていかれてはたまらない」とやや困惑気味で打ち明けた。
そればかりではない。今後の「大連立構想」にもキナ臭い火種を含んでいるという。別の関係者が指摘する。「一番のキーマンは前田(日明スーパーバイザー)さんでしょう。谷川さんは報告済みとしているようですが、PRIDEアレルギーのある前田さんが大連立を許すのか。無論、高田さんとの確執もあるでしょうし」
いよいよ禁断の扉を開けたKのリング。果たして「やれんのか!」との合体で動き出した格闘技界の「大連立構想」は、今後どんな展開をみせるのか、目が離せない。