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エプソムC 負けられないブライトトゥモロー

 謎の敗戦の後も闘争心はまったくなえていない。
 「はっきりした敗因がよく分からないんだよね。強いて挙げればあの時計かなあ」と古川助手は苦笑いを浮かべた。前走の新潟大賞典、連覇を狙ったブライトトゥモローは1番人気に支持されたものの、よもやの11着に敗れた。

 それは極限に近い戦いだった。勝ったオースミグラスワンの時計は芝2000m1分58秒5。そして何より上がり3Fは31秒9という猛烈な切れ味だった。レース自体の上がりも32秒台と異常な速さで、しぶとい末脚を駆使して粘り抜くのが身上のトゥモローにはまったく不向きな展開だったともいえる。
 その後はこのレースに目標を定め、巻き返しへの準備を整えてきた。1週前追い切りは栗東坂路で800m54秒5。時計は平凡だが、当日は雨の影響で馬場状態が悪かった。
 「脚取り自体はしっかりしていたからね。具合に関しては何の不安もなく送り出せそう」と同助手はうなずいた。
 何より東京はトゥモローにとって、ベストといえるコース。<1102>の好成績で、昨年のエプソムCも2着している。「とにかく左回りは走りがスムーズ。とくに東京はしっかり走ってくれる」と期待は大きい。この春は3走して結果は出ていないが、「最初の2走は具合がいまひとつだったし、前走はやっぱり時計が速すぎたんだと思う。今の東京なら適度に時計がかかっているし、状態も万全といえる。なんとか結果を出してほしい」。陣営がそこまで思いを込める裏には秋のビッグプランがある。
 天皇賞・秋の制覇だ。「去年は歯が立たなかったけど、GIでも東京なら通用する力があるはず。秋には何としてもリベンジしたいんだ。そのためにも、このあたりでは負けていられない」
 GIシリーズが幕を下ろした後の気だるいGIII。そう思って油断していると、秋の“波乱の芽”を見逃すことになる。

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