一度、引退して復帰した例はあるが、他のスポーツに転向した末に球界に戻った例はなく、古木の夢がかなえば、まさに奇跡の復活劇となる。
古木は98年のドラフト1位で横浜ベイスターズに入団。03年にはレギュラーを獲得し、22本塁打をマークする長打力を発揮したが、その後低迷。07年オフにオリックス・バファローズにトレードされたが、結果が出せず、09年オフに自由契約となった。合同トライアウトを受けたものの、獲得する球団は現れず引退。同年12月に格闘家転向を決意し、新興団体のSMASHに入団。1年間のトレーニングを経て、昨年大みそかの「Dynamite!!」で、アンディ・オロゴンを相手にデビューした(判定負け)。そして、DEEP4・22後楽園大会で、海老名義隆と対戦し、判定で格闘技初勝利を挙げた。
その後、古木は少年野球の指導者を目指し、野球の練習を再開。野球への情熱が再燃し、格闘技は引退し、球界への復帰を目指しているという。現在は市民球団かずさマジック(前身は新日鉄君津硬式野球部)でトレーニングを積んでいる。
その背景にはK-1、DREAMを主催するFEGの経営難で、格闘技では食えないという側面もあろう。だが、古木の決意は固く、11月24日の合同トライアウトに参加する覚悟もできているという。
2年前、どの球団からもオファーがなかった古木に、2年間ものブランクを経て、声を掛ける球団が果たしてあるのかというと、高いハードルが待っているだろうというしかない。ただ、格闘技を経験したことで、「体のバランスが良くなり、野球にもプラスになっている」と評する関係者もいる。合同トライアウトで結果が出せれば、奇跡の球界復帰が実現する可能性もある。
(落合一郎)
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