「数年前から婚活のために、マッチングアプリを利用しています。そこで連絡を取り合った人と、食事をしたことがあるのですが、全く楽しくありませんでした。見た目や職業は普通の会社員で、人見知りや会話ができないという感じではないんです。ただ、話す内容がとにかく暗かった」
具体的にどの部分が暗いのかというと、表情や話し方でなく、内容が笑えないものばかりだったという。
「彼の話題は、ほとんどが『死』に関する話題なんです。例えば、私が学生時代の思い出を話し出すと、彼は『そういえばクラスメートが自殺したんだよね。彼は自分の部屋で首を吊って……』と聞いてもいないのに、亡くなった状況までを詳しく語ってくる。また実家に帰省したという内容になったら、今度は勝手に人間の平均寿命から、死ぬまでにあと何回、帰省して親と会えるかを計算したり、彼の家族が亡くなった時の状況を話し出す。とにかく全てを『死』に持っていくのです。確かに仲良くなったら、そういうことを話し合うことも大切だとは思います。でも、最初の食事デートで、そういう重い話題をずっと語られるのはキツかったですね。最初はもっと普通の話題でいいのにと思います」
その最初のデートが楽しめなかった美紀さんは、以後、彼と会うことはなかったという。
写真・ariel jatib