まず、今年のG1の観客動員数を見てもらいたい。
【G1クライマックス28観客動員数】
7月14日 東京・大田区総合体育館 3,907人(札止め)
7月15日 東京・大田区総合体育館 3,826人(満員)
7月16日 北海道・北海道立総合体育センター北海きたえーる 6,489人(札止め)
7月19日 東京・後楽園ホール 1,730人(札止め)
7月20日 東京・後楽園ホール 1,683人(札止め)
7月21日 東京・後楽園ホール 1,734人(札止め)
7月22日 東京・エスフォルタアリーナ八王子 4,399人(満員)
7月26日 新潟・アオーレ長岡 3,106人(満員)
7月27日 静岡・アクトシティ浜松 2,800人
7月28日 愛知・愛知県体育館(ドルフィンズアリーナ) 5,735人(札止め)
7月30日 香川・高松市総合体育館・第1競技場 2,555人
8月1日 鹿児島・鹿児島アリーナ 3,490人(満員)
8月2日 福岡・福岡市民体育館 3,580人(満員)
8月4日 大阪・大阪府立体育会館(エディオンアリーナ大阪) 5,500人(札止め)
8月5日 大阪・大阪府立体育会館(エディオンアリーナ大阪) 5,480人(札止め)
8月8日 神奈川・横浜文化体育館 4,952人(札止め)
8月10日 東京・日本武道館 6,180人
8月11日 東京・日本武道館 12,023人(札止め)
8月12日 東京・日本武道館 12,112人(札止め)
全19大会中、チケットが完売し札止めマークが付いたのは11大会。満員マークは5大会に付いた。浜松、高松、武道館の初日に満員マークが付かなかったことは来年に向けた課題になるが、19大会で計91,281人の動員に成功した。後楽園ホール大会は“G1価格”で開催。武道館大会も最終日のみ価格を高めに設定することで28年の歴史を誇るG1のブランド力とプレミアム感を高めた。
木谷高明オーナーはリアルライブの独占取材に対して次のように述べている。
「過去最高の動員、過去最高の内容の大会。棚橋選手が優勝しましたが、勝敗を分けたのはG1に対する思いの歴史の差だったと思います。この勝敗というのは選手だけではなく、スタッフも含まれるんですけど、スタッフもG1への思い、歴史があるわけです。じゃないと武道館3連戦で2日も札止めにはできないですよ」
現在の木谷オーナーは、新日本の実務をCEO兼任のメイ新社長に任せて、自身は「節目には出ていくぐらいじゃないですか」と以前よりも一線を引いたスタンスを貫いている。「新日本はもう軌道に乗ってますから、大丈夫でしょう」とも言う。新日本の好調ぶりがオーナーの大きな信頼を勝ち得ているのは言うまでもない。またブシロード体制になってからもエースとして全力プロモーションを続けている棚橋が優勝したのは「G1に対する思い、歴史の差」と分析。ボロボロになりながらも、G1の思いや歴史を背負って闘った棚橋を称賛した。
今回、初日こそ集客に苦戦したものの、黄金時代ですら2連戦以上行ったことがない武道館3連戦を成功させたことで、大阪城ホールなどアリーナクラスでの連戦は増える可能性が高い。木谷オーナーは「見やすい会場があるんだから必要以上にドームやスタジアムで開催する必要はない」という考えなだけに、ファンから要望が多い京セラドーム大阪大会の実現可能性は低そう。しかし、東京五輪が近づくにつれ首都圏では箱不足に悩まされるだろう。首都圏にとらわれることなく、今年の武道館3連戦に負けないインパクトのある会場へ積極的に進出し、全国のプロレス人口を再び増やしてもらいたい。それが日本でできるのは新日本プロレスだけ。武道館3連戦はグッズ収入も含めると、1.4東京ドーム大会に匹敵する売り上げを記録したという。
「G1の参加選手は多すぎる」という声はファンだけではなく、内藤哲也らレスラーからも出ているが、将来的にはWWEの『レッスルマニア』のように各都市でG1の誘致合戦が行われ、G1が開催される街全体が盛り上がるようなシリーズになるのが理想ではないだろうか。
2年後のオリンピックイヤーには30回の節目を迎えるだけに、さらなるスケールアップに期待したい。
【どら増田のプロレス・格闘技aID vol.20】