200キロは大げさだが、150キロ台後半に設定されていたのは間違いない。
「日本シリーズでソフトバンクの千賀にキリキリ舞いさせられた後ですからね。原辰徳監督(61)も速球対策の必要性を口にしていました」(スポーツ紙記者)
練習の目的は明白だが、こんな証言も聞かれた。
「あまり、成果はなかったはずだが…」(ベテラン記者)
14年秋季キャンプ、15年春季キャンプでも、高速マシンでの打撃練習が行われていた。近年の巨人のチーム打撃成績は、以下の通り。
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2019年 2割5分7厘(リーグ2位)
2018年 2割5分7厘( 同 4位)
2017年 2割4分9厘( 同 3位)
2016年 2割5分1厘( 同 3位)
2015年 2割4分3厘( 同 6位)
2014年 2割5分7厘( 同 5位)
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高速マシンを使った15年は、確かにその成果は見られなかった。データ上では、巨人は打撃のチームではない。昨年オフに丸佳浩を獲り、今オフも千葉ロッテ・鈴木大地の獲得に乗り出したのも分からない話ではない。
「投手力で勝ってきたチームなのかもしれません。今季、エース・菅野が不振で、その穴を埋めたのが山口俊。高橋など何人かの若手も出てきましたが、シーズンを通して一軍には定着できませんでした。先発、リリーフともにコマ不足なのでこちらも外部補強するようです」(プロ野球解説者)
補強は悪いことではないが、今オフ、鈴木や楽天・美馬のFA獲得に乗り出しても大きな非難が出ないのは、「またか!?」というファンの諦めもあるだろう。「19年シーズン、原監督は若手にもチャンスを与えていた」(前出・同)と好意的な声も聞かれたが、自前で戦力を育てていく環境を早く整えなければならない。
「ドラフトですよ。巨人はここ数年、1位選手の指名が重複し、抽選になると、ハズレばかり。原監督のクジ運はトータルで1勝8敗、前任の高橋監督も当たりクジを引けませんでした」(球界関係者)
1位指名は、将来のチームの看板選手になってほしいと期待されている。その視点で考えると、引退した阿部慎之助のほか、坂本勇人、小林誠司、岡本和真など過去の1位選手は、チームを牽引するまでになった。だが、ドラフトは1位選手が全てではない。育成枠から一軍戦力に育った選手もいる。巨人は育成もしっかりやっているほうだ。しかし、ハズレ1位は「2、3位指名の評価」とも言われている。外部補強を続ける理由は、ドラフトのクジ運の悪さにもあるようだ。
(スポーツライター・飯山満)