現在、4勝10敗で交流戦最下位に沈む楽天。この日負ければ、最大8あった貯金を使い果たし、借金生活に突入してしまう。
追い込まれた状況で巨人戦に臨み、中継ぎ左腕の有銘兼久を2年ぶりに先発させるという“奇襲”に出た。だが「向こうも読んどるやん。奇襲ではなく読まれてる」(野村監督)と語るように寺内崇幸、谷佳知、大道典嘉と右打者を並べられ、不発に終わった。
ならばと打線の奮起に期待したが、6月に入り平均得点は1.83と低迷中。不振の中村紀洋は連日のベンチスタート、4番に首位打者の草野大輔を起用するテコ入れを行ったものの2得点止まり。一時は2対2の同点に追いつくも、8回にラミレスに2塁打、亀井に犠飛を許し、勝ち越された。これが決勝点となり2-3で敗戦した。
試合後、野村監督は「下位打線のところばっかりチャンスがくる。どうやったらタイムリーが出るのか分からないんだよ」とため息交じりに語った。
次第にボヤキは怒りへと変化。「(捕手の)嶋はもうちょっと勉強してくれないと。3年もやらせているけど、うならせるような配球が出てこない。キャッチャーが育たないと、チームは強くなっていかない」と正捕手の嶋を糾弾した。
さらに借金生活に入ったことを報道陣から問われ「知ってますけど。何か」と勝てないチームに苛立ちを隠せなかった。
無理もない。継投策、満塁の場面でヒット1本が出ないなど、全てが裏目に出た。
それは何も試合に限った事ではない。それは試合前に楽天ベンチを野球評論家でタレントの坂東英二氏が訪れた時のこと。 楽天と来季の契約が白紙となっている野村監督は、ジョークのつもりで坂東氏にタレント転向をオファー。ところが、坂東氏から「来なくていいから。もうポジションが決まっているから」とあっさりと振られてしまった。
悪循環にさいなまれる老将は「どツボにはまったな」と力なくつぶやき球場を後にした。トンネルの出口はまだ先のようだ。