現英国軍歩兵になりきる会社員男性(35)はその軍服に引かれた理由を「ダサいところですね」と笑った。ミリタリーマニアにはもはや常識だが、英国軍は戦車や装備品も含めて「ダサい」ことで有名。特にヘルメットは「おわんみたい」といわれている。あえてその「ダサい」を極めるところにマニア魂がうかがえる。上から下までそろえて約10万円。アーマー(防弾チョッキ)を偽物で我慢して価格を抑えたという。
ミリタリー歴は20年。「映画『遠すぎた橋』を見てから、この世界にどっぷりつかりましたね」と話す。1977年の戦争映画で監督はリチャード・アッテンボロー。第二次大戦中のマーケット・ガーデン作戦(空挺作戦)を題材にした大作である。
一方、米国海兵隊員に扮する30代の男性は、タミヤの模型がミリタリー道を突き進む原点だったという。「戦艦のプラモデルづくりから始まった。いつから? と言われると難しいなあ〜。小学生の時だったような、中学生の時だったような。気づいたらという感じかな」と振り返る。ミリタリーファッションをまとうことについては「コスプレ感覚ですね」ととぼけるが、トータルで50万円以上かけるほど本気だ。
休日はヒストリカルゲームに参加するという。ヒストリカルゲームとは史実上の戦争や武力衝突を再現して行うサバイバルゲーム。たとえばベトナム戦争なら北軍と南軍に分かれて行う。単なるサバイバルゲームでは満足できない本物志向のマニアが好む。
もちろん米海兵隊の格好で参加すると思いきや「いや〜汚れたらもったいなくて、それはできないよ」と笑っていた。
まさにミリタリーファンに歴史あり!
さて、こうした格好をするようになった経緯は分かった。しかし、それでいったいナニをするのか。コスプレイヤーの文化には写真の撮りっこがあるが、系統が系統だけに「写真撮らせてください」なんて頼むシーンはない。ひたすら戦闘服で会場を歩き回っていた。ただ、戦闘服や軍服のマニア同士がすれ違う際には、同盟国だったかどうかなど関係なしに敬礼するのには驚いた。ミリタリー系コスプレの初心者は、マナー違反に注意しよう。