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重賞今昔物語 1999年七夕賞・サンデーセイラ 個性派・菅谷騎手唯一のタイトル

 数ある重賞のなかでも一番荒れる印象を強く残しているのが、この七夕賞だろう。

 7月の福島で芝2000メートルに固定された1980年以降、29回あったレースのなかで1番人気が勝ったのは2005年のダイワレイダースのみ。ただでさえ馬場が悪くなりやすい福島の芝なのに、梅雨時で雨が多く、しかもハンデ戦。春シーズンと本格的サマーシリーズのはざ間という中途半端な開催時期も、メンバーをより難解にしてきた。
 99年も実に難しいレースだった。1番人気はシグナスヒーロー。エイプリルS、エプソムCと連続2着と調子を上げていた。だが、重賞勝ちの経験はなく、脚質も追い込み一辺倒で小回りでは不安な面が多く、断然の信頼を得るまでには至っていなかった。
 そんな混戦模様のなか、ハナを切ったのはサンデーセイラだった。こちらはシグナスとは対照的に逃げ、先行が持ち味。特に逃げを打ったときのしぶとさは格別で、前走で準オープンを勝ち上がったばかりだったが、展開利も見込まれ4番人気に支持された。

 鞍上は菅谷正巳。父の菅谷禎高調教師の管理する馬のほとんどに騎乗し、実際、セイラの全25戦も手綱を取った。彼の騎乗スタイルは非常に個性的だ。逃げるか、追い込むかの両極端。88年の皐月賞、14番人気でヤエノムテキの2着に食い込んだディクターランドは、豪快な追い込みを身上とした。
 競馬学校がつくられ優等生的な騎乗をする騎手が増えた昨今では、貴重な存在だった。それゆえマニアックなファンが多く存在し、人気競馬ゲームのダービースタリオンでも彼がモデルのキャラクターが登場したほどだ。
 さて、レースは前半1000メートルの通過が59秒4と平均よりちょっと速め。だが後半の1000メートルも60秒7でまとめて、きっちり逃げ切った。後方に控えたシグナスヒーローが最後は猛然と追い込んだが、ハナ差の2着までが精いっぱいだった。
 記録より記憶に残る騎手だったといっていい菅谷にとって、これがデビュー17年目にして初、そして唯一の重賞勝利となった。

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