空知氏といえば、『銀魂』が実写化するにあたり“基本泥舟”と発言し、キャストやスタッフを「それでもいいから乗りたいと言ってくれた方々」と紹介。どんなコメントを出すのか、実写化に反対していたファンの気持ちをいい意味で裏切った“粋”な人物だ。そんな甲斐もあってか、同作品は、2017年の実写邦画NO.1の大ヒット。また、先日公開された『銀魂2 掟は破るためにこそある』は、全国映画動員ランキング(8月18日〜19日、興行通信社調べ)で1位を獲得し、上々の滑り出しとなった。
「とにかく、空知先生の“人となり”が現れているのが、単行本の質問コーナーです。働いてばかりで家族サービスをしない父親の不満について投稿した相談者に対し、ユーモアを交えて“父親の偉大さ”について返信したり、“面接で尊敬している人は(主人公の)坂田銀時ですと書こうとした”という相談者に、直接注意をするのではなく、“君がやろうとしているのは……”と面白くも分かりやすい例えで返答。贈る言葉一つひとつに厳しさと優しさが溢れているのです」(アニメライター)
2011年3月に起こった東日本大震災の際には、“悲しいことがたくさん起こって前向きになんてなれない時もあると思いますが そんな時は気負わず横でも向いてください みんなついております みんなで一歩ずつ前へ進んでいきましょう”と銀時ら主要メンバーが横一列になった作品を発表。「これは泣く」「この言葉いいな」などと、当時話題となった。
そして、何よりギャグ漫画家として成功を収めた彼の所以は、独特な発想と少年誌では問題になりそうなギリギリのラインを突く技術にある。下ネタはもちろん、インパクトの強い大物政治家を揶揄したり、大相撲で話題となった暴行事件を作品の中に取り入れたり、時事問題も積極的にパロディー。実写化に出演した菅田将暉と菜々緒(第1作のみ)の熱愛スクープを漫画の中で暗にイジっているシーンもある。
空知作品の特徴は、“人を傷つけない笑い”を通して“人を魅了”することだ。これは、実写化の監督をした福田雄一氏にも同じことが言える。残念ながら、空知氏の顔やパーソナルな部分はまるで明かされていない。そんなミステリアスな雰囲気を纏ったまま連載を終えるのも“彼らしい幕の引き方”と言えるだろう。
記事内の引用について
映画『銀魂2』公式Twitterより
https://twitter.com/gintama_film!