非常に痛ましい事件であるが、警察官の見間違いから世界的な事件になった例はオカルト界にも存在する。
今から50年前の1964年、アメリカのニューメキシコ州ソコロにて、UFOらしき物体が轟音とともに墜落。宇宙人が目撃されるという事件が起きた。これだけならばよくある(?)UFO目撃事件なのだが、目撃した人物がなんと現職の警察官であったため世界の注目を集めてしまったのだ。
ニューメキシコ州ソコロの警察官であるロニー・ザモラ氏は勤務中に町外れで轟音を聞き、青みがかったオレンジ色の炎が上がっているのを目撃。近隣にダイナマイトの貯蔵庫があったため、爆発か何か事件でも起きたのかと思い、現場に急行した。
しかし、不思議なことに、炎から煙は一切上がっていなかったという。やがて、彼は丘陵地帯にて150メートルほど前方に銀色に光る卵型の物体を目撃した。
卵型の物体は金属製で数本の足で地面に立っているように見えたという。側には白いつなぎ服を着た2人の小柄な人物がおり、近づいてくるザモラに気がつくと一瞬驚いたような様子だったという。
更にザモラが近づいていくと人影は消え、ドアが閉まるような音が聞こえた。そして、最初に彼が聞いたのと同じような轟音が鳴り響き、金属の物体が下から炎を吹き出しはじめた。慌てたザモラが現場を離れると、物体は地上4メートルほどに浮上した後に地面と平行に体を倒して南西の方角へと猛スピードで飛び去っていった。
ザモラの通報の後に現場に到着した警察の調査で、着陸地点に草が焦げた跡や着陸脚のものらしき四角いくぼみなどが発見された。
また、彼の目撃とほぼ同時刻に、青い光を見たという通報がソコロ警察署や近隣のテレビ局に数件寄せられていた。
炎をあげる飛行物体ということで、ザモラの目撃したものは熱気球だったのではないか、とする説が出た。
彼が目撃直後に書いたスケッチでは問題の物体の側面に赤いマークがあったのだが、そのデザインが当時気球を製造していた会社のマークに酷似していたこと、また着陸時と浮上時で形状が変わっていること、そしてザモラ本人の視力が弱かったことなどから不時着した熱気球とその搭乗員を誤認したのではないかと考えられたのだ。
実際、目撃者であるザモラ本人も「気球のようだった」と証言している。そして、2012年に入ってニューメキシコ州の学生により熱気球を使ったイタズラであったとの証言が出た。
しかし、事件当時は夕刻に近いとはいえまだ十分に明るい時間帯であった。ザモラも勤務中で、一度メガネを落としたりはしたものの、記憶は非常に正確で証言にも曖昧なところはなかった。そのため、気球に驚いて誤認したという可能性は非常に低いとされている。また当時の風向きや熱気球の構造上、現場のような痕跡を残すのは不可能であるなどの検証がなされており、結局50年経った今でもソコロ事件の詳細は不明のままとなっている。
※写真はUFOの着陸後。不鮮明ながも大きな窪みが確認できる。
※参考URL
http://giga.world.coocan.jp/ufo/history/socorro.html
(山口敏太郎事務所)