これまでのうっ憤をすべて晴らしてみせる。リトルアマポーラ陣営の鼻息が荒い。
「春も含めてGIは、これまで満足いく状態で送り出せたことが一度もなかった。だけど今回は本当に自信を持って送り出せる」と中川助手は言い切った。
極上の仕上がりだ。春の疲れが尾を引いたのか、夏場は調整がはかどらず、栗東への帰厩が遅れた。その影響で秋華賞は本調子に至らなかった。だが、今度は違う。ひと叩きの後、馬が目に見えて良くなった。「反動なんてない。至って順調にきたよ」。余裕のあったシルエットはきっちり研ぎ澄まされている。
半信半疑で挑んだ秋華賞。結果は6着だったが、この馬のポテンシャルを改めて感じたと中川助手はいう。「ゲート内でジタバタしてしまい出遅れた。しかも、内の馬場状態が良くて前が止まらなかった」。それでいて直線は鋭い末脚で追い込んだ。上がり3Fはメンバー最速の34秒3。「あの状態であそこまで走ってくれるとは…。正直、予想外だった」とうれしい誤算に目を細めた。
春は桜花賞が2番人気で、オークスが1番人気。潜在能力の高さは早くから評価されていた。前走でもその片りんは見せたわけだが、今回おそらく、人気はないだろう。相手に関係なく自分の競馬をするだけ。プレッシャーから解放された実力馬ほど怖いものはない。
しかも、条件はすべての面で好転する。ゴチャつきやすい内回りから思う存分、末脚を生かせる外回りへ。1F延びるのも歓迎だ。加えて今の馬場状態は秋華賞当時とは逆で、外の方が伸びる。
「その通り。ウオッカとダイワスカーレットがいないここなら、たとえ古馬が相手でも一発あっておかしくない」
人気がなければ、勝ちにいかず、ぎりぎりまで脚をためられる。ゴール寸前、アマポーラが飛んでくる。
【最終追いVTR】終い重点で軽く仕掛けられた。鞍上が気合をつけると、抜群の反応を見せラストはシャープな伸びでフィニッシュ。仕上がり途上だった前走時より明らかに馬体の張りも良く、叩き2戦目で大幅な上積みが期待できる。