大畠は2年前に解散したJDスターに入門。中学時代は不登校児童だった経緯があり、どちらかといえば内向的な性格だった。スポーツ歴もなく目立った存在でもなかったが、風香の試合を動画で見たことがきっかけで、女子プロレスの門をたたいたという。
今では休刊になった週刊ゴング誌が、以前にサムライTVと提携して「週刊ゴングTV」なる番組を制作。その番組内の女子プロレスラー・オーディションに合格し、JDスターでデビューを果たした。風香同様、タレント活動に興味を持っていた大畠だが、JDスター時代はプロレスの基礎を学ぶので精いっぱい。プロレス以外の活動にチャレンジする機会は皆無だった。
だが、2007年夏にJDスターが突然の解散。所属選手はバラバラになった。風香は事務所に残りプロレス続行をいち早く表明したが、次に自らの意向をハッキリさせたのが大畠だった。吉田万里子が主宰する「息吹」をマネジメントするエス・オベーション入りを決めたのだ。
その決断には、同世代の仲間である松本浩代の存在が大きかった。息吹の生え抜きである松本とは、後に3Sというタッグチームを結成。パワーで松本に劣る大畠は、スピーディーな返し技とサブミッションを身につけることで対抗した。
また、「息吹」での大畠は、先輩選手にトコトンくらいついてみせた。なかでも木村響子を追い、一度はフォールを奪うほどに成長。さらに、他団体の同世代に対するライバル意識は強く、対抗戦向きの熱きファイターにまで成長した。
2009年5月31日、後楽園ホール。大畠が松本と並ぶ日が訪れた。その日、松本の保持していたJWP認定ジュニア&POPの2冠王座に挑戦。辛勝ながら2本のベルトを奪取したのだ。POP王座は、プリンセス・オブ・プロレスリングという名称で、初代王者はあこがれの風香であった。その後、自信をつけた大畠はジュニア2冠王者の道を歩み続けている。風香祭で大畠とタッグを組んだ風香は「あの前転が一回もできなかった大畠さんが、今や勢いに乗るジュニアの2冠チャンピオンというのは感無量です。芸能活動をやりたいという欲もあると思うので、それがかなえられるといいですね」という。
次回のタイトル防衛戦の相手はセンダイガールズの水波綾に決定している。12月20日、里村明衣子が復帰する仙女の大会のセミファイナルに抜てきされたのだ。実力派として堅実なレスリングを遂行する水波は、もっともベルトに近い選手である。この水波戦が大畠にとっては最大の正念場。
12月でデビューしてから3年が経つ大畠。もう新人の枠ではなくなるだけに、さらなる飛躍が望まれるが、意外にもEカップともFカップとも思える肢体にちまたで注目が集まっている。ポスト風香はボディーも武器にすることが必須。大畠の隠れた魅力がベールを脱ぐ日は近い。