1年後に“角田ファミリー”が逮捕されたが、肝心の美代子元被告は留置場で自殺。以降は主犯が不在のまま、関係者らの公判が神戸地方裁判所で開かれている。
今年5月13日からは、美代子元被告の内縁の夫である鄭頼太郎(65)、義妹の角田三枝子(62)、長男の健太郎(33)の3被告に対する裁判員裁判が始まった。いずれも殺人罪のほか、それぞれ9つの罪で起訴されているため、7月現在もこの公判は続いている。
7月15日からは、三枝子被告の義弟である橋本次郎さん(53=当時)に対する殺人罪などについての審理が始まったが、その内容は、まさに鬼畜の所業というべきものだった。
美代子元被告の主導のもと、3被告を含む“角田ファミリー”が、マンション屋上の小屋に次郎さんをしばりつけて監禁。食事や排泄も制限し、壮絶な虐待の末に衰弱死させ、遺体を岡山県の海中に遺棄したのである。
冒頭陳述や証人尋問では、生々しい描写が続いたが、その一方で“角田ファミリー”が、林家ぺー・パー子夫妻のごとく、何でもかんでも写真に撮り、「家族の思い出」を残しまくっていたことも明らかになった。
公判を傍聴していたライターの高橋ユキ氏が語る。
「関係者が、『監禁が始まる前日に焼き肉パーティーをした』と供述しているのですが、その日の写真も法廷の大型モニターに映し出されていました。皆で楽しそうに焼き肉を食べている写真で、そこには翌日から監禁される次郎さんも写っていました。別の日の写真には、美代子元被告とその孫、次郎さんの3ショットがあり、それも法廷に出されたのですが、そこに写っている次郎さんの顔には青あざがありましたね。美代子元被告は孫の方を向いてニコニコしていましたが…」
検察側は、こうした写真から「犯行日」を特定し、「虐待の事実」も証明している。何とも間の抜けた話だが、他人の家族を食い物にした悪魔のような女が、「自分の家族との思い出」だけは大切にしていたというのも、なぜか切ない。