「亜酸化窒素は“笑気ガス”とも呼ばれ、分娩の際など医療用麻薬として用いられる一方、自転車タイヤの充填用としてネットでも販売されています。陶酔感が得られるため若者の間で急速に広まっているのですが、血小板が減るなどの副作用もある。アルコールや他の薬物との併用は非常に危険で、海外では酸欠で死亡した例もあるそうです」(全国紙社会部記者)
イギリスでも、風船にこの亜酸化窒素を入れて吸う“ヒッピークラック”が流行し社会問題化している。吸引すれば一瞬強烈な多幸感を感じるが、持続性がない。そのため、危険という意識も薄れ拡大に拍車をかけているのだ。
「これらの状況を踏まえ、厚労省は11月22日、『シバガス』を指定薬物にすることを決定した。これにより、12月中旬頃から製造・輸入・販売・所持・使用などが法律で禁止されることになります」(同)
6月に逮捕された男に関しても、本人は「販売目的で仕入れた」と供述しており、麻薬取締部が入手ルートの解明を進めているという。
元厚労省麻薬取締部捜査第一課長の小林潔氏は言う。
「かつて、我々も大麻事件が起きた際、『マリファナ』や『インド大麻』と呼び方を変えて発表し、一般市民の反応を見ながら関心が薄れることを目指した。件の男への対処は警戒感を持たせるのにも十分だったと思います。いずれにせよ、違法薬物は一つ一つ芽をつんでいかなければならない」
歯止めをかけられるか。