「私は今までナンバー1になったこともないですし、指名が多いわけでもない。でもそれなりに長くキャバを続けてこれたのは、パトロンの客がいたからなんですよね」
キャバ嬢になって3か月が経過したある日、何度か接客していた40代の男性からあるプレゼントの話を持ちかけられたという。
「話の流れで大きなテレビが欲しいって言ったら、本当に部屋に巨大な液晶テレビを送ってきてくれたんです。それからは毎月、欲しいものリストに商品を書いて渡すように言われました」
それから優奈は次々とプレゼントをねだるようになり、ブランドものの服やバッグ、家電製品からペットに至るまで、リストに書いたものはなんでもプレゼントされた。だがやがて、その客は彼女に2人きりの海外旅行を持ちかけてきたという。
「ついに、来たなと思いましたね。私も散々貢いでもらったんで、覚悟はしていたんです。それに海外にも行きたかったから、まあいいかなと」
抱かれるかもしれない。そんな覚悟で旅立ったという優奈だが、現地に着いてみるとお互い部屋は別々。それ以外も予想とは違い、パトロンは彼女に一切手を出してこなかったという。だがそんな行動が優奈の心に火をつけた。
「なぜ何もしてこないんだろうと逆に私が気になってきて。だから帰国してから思い切って聞いたんです。なんで手を出してこないの、おかしくない? って」
するとパトロンは、真剣な眼差しを優奈に向け、プロポーズをしてきたのだという。今までの男達は優奈に対し、すぐ手を出そうとする者ばかり。そんな中でパトロンの立ち振る舞いは彼女にとって、特別に思え、優奈は彼の告白を受け入れた。
「とりあえず今はまだ普通に付き合ってる状態で、結婚とかはわかりません。でも生活の面倒は見てくれるというので、キャバの世界とは距離を置くことにしたんです」
交際後もパトロンは変わらず、優奈にプレゼントを買ってくれるという。
(文・佐々木栄蔵)