これらの血統の馬は、日本の芝独特の瞬発力競馬に強い特徴を持つ。と同時に、欧州的なスタミナが色濃く要求されるレースへの適性は下がる。つまり、天皇賞・春は、一般的にスタミナ血脈と呼ばれる欧州的なスタミナ血統色が強すぎる馬では、スピード不足で走れないケースも多いのだ。
たとえば、05年には、豪州のメルボルンCを3連覇したマカイビーディーヴァが2人気に支持されるも7着に敗れた。この馬は欧州の長距離に強い血脈で固められているが、天皇賞・春では瞬発力が足りなかったのだろう。
反対に、このレースでマカイビーディーヴァに先着したアイポッパーはSS、ノーザンテースト、ディクタスの血を持つ日本の瞬発力競馬に強い血で固められた馬だが、マカイビーディーヴァが勝った(勝ちやすいようにつくられた馬場だった)メルボルンCでは12着に敗れた。
もちろん、体調面、地の利などもあるだろうが、欧州的なスタミナが強すぎる馬は天皇賞・春には向かず、欧州の長距離ではスタミナが少し足りないぐらいの馬が狙い目になる。特に今の馬場は時計が速いので、今年は瞬発力競馬に強い血がなおさら重要になることが予想される。
本命はダークメッセージ。父ダンスインザダークはデルタブルースなど菊花賞馬を複数出す本格的なスタミナ血統。ゆえに、母方にはスピードタイプの血がほしいところ。同馬の場合は母父がノーザンテースト、母母父がクラフティプロスペクターと続くため、同じダンスインザダーク産駒のデルタブルースと比べても、本レースで重要な瞬発力、ならびにラストで要求される11秒台のスピード勝負への対応力は優れている。日本独特(天皇賞春独特)のステイヤーといえるだろう。
対抗はマツリダゴッホ。この馬も欧州的なスタミナの要素は薄いが、スピード勝負への対応力は極めて高い。