そうした現状に武藤がジェラシーを抱いているかと思いきや「それはしょうがない。船木をナビゲートしたのは俺なんだから、彼が注目されることに対しては嬉しさのほうが大きい」という。
ただし、メーンは武藤の25周年記念試合になるだけに、主役の座を譲るつもりはない。25年の一つの集大成として、自身が身につけてきた技をフル活用する気構えだ。
現在の武藤の必殺技といえばシャイニングウィザード、四の字固めになるが、大一番では切り札のムーンサルトプレスを見せ、幾多の名勝負を制してきた。
昨年の新日本10・13両国大会では、中邑真輔とのIWGPヘビー級選手権試合で「とっさに出た技。今まで何回かしか使ったことがない」という“奥の手”フランケンシュタイナーでベルトを死守。両国大会ではチャンスがあれば、それらの技を狙ってくる可能性は高い。
懐が深く、技の引き出しの多い武藤が隠し持つ技は他にもある。ジャーマンスープレックス、弓矢固め、鎌固めなども得意技に挙げられる。しかし、武藤は長年肉体を酷使してきた結果、首と膝の痛みが慢性化。同箇所に負担のかかる前記の技は控え気味となり、最近は使用しなくなっている。
武藤は「だからといってやらないままなら退化してしまう」と両国大会での解禁に意欲的。立ち止まることを嫌い、常に前進し続けることで進化してきた武藤は、25周年記念という舞台で、その生き様を見せつけるつもりだ。
なお、武藤はメーンに関しては「試合をやってみないと断言できないけど、やってみて過去の思い出を箱にしまうのか、自分をさらけ出して何かが続くのか…。それは試合をした4人が感じること。たとえば鈴木と船木は過去の清算になるのか、未来はあるのかは、まだわからない」と気を引き締め直した。