同興行は株式会社リニューアス(東京都千代田区)が主催し、蝶野がそのプロデュースを任されていたものだが、同社の本案件に対する資金調達が困難となったため中止となった。
同興行は全日本プロレス、レジェンド・プロレスリング、プロレスリングZERO1、大日本プロレス、みちのくプロレス、大阪プロレスなどと、フリーのプロレスラーが全面協力し、全12カードがすでに決まっていた。出場予定となっていたのは、初代タイガーマスク、藤波辰爾、長州力のレジェンド勢、諏訪魔、大谷晋二郎、関本大介、ザ・グレート・サスケ、空牙ら各団体のトップ選手と、曙、吉江豊らのフリーの大物選手。
なかでも、レジェンド・プロレスリングは当初、同日に後楽園ホール大会を予定していたが、この興行のために、わざわざ日程を1月8日にずらすなどして、協力関係を築いていただけに被害は甚大。協力予定だった他の団体、フリー選手にとっても、影響は少なくない。
蝶野は主催者ではなく、あくまでも、その知名度とネットワークを評価されて、“興行の顔”として任命されたわけで、資金繰りの責任はない。その意味では、蝶野も被害者の一人といえなくもないが、中止となってしまっては、面目丸潰れだ。
同社はアセットマネジメント、コンサルティング、不動産、イノベーションなどの事業を手掛ける企業で、プロレス興行に関しては素人。興行関係者のA氏によると、「これだけのトップ選手を集めて、かつこれだけ多くの選手を出せば、ギャラがかなり高額になるのは言わずもがなです。たかが、キャパシティ2000人程度の会場でやっても経費倒れするのは最初から目に見えていました。資金調達が困難なんて、笑うしかない。予算の組み方、プランニングが甘すぎます」と苦言を呈す。
同社ではチケット払い戻しの要項を発表したが、場合によっては協力予定だった団体、選手から損害賠償の請求を受けても致し方ないところだ。
(落合一郎)