search
とじる
トップ > スポーツ > 米スカウトが後退でサブマリン牧田が残留しても喜べない球団事情

米スカウトが後退でサブマリン牧田が残留しても喜べない球団事情

 この一報に、球団上層部は救われた思いがしたのではないだろうか。

 米CBSスポーツがメジャーリーグ挑戦を表明した大谷翔平(23)の紹介記事の一環で、「日本から挑戦するピッチャーは彼だけではない」というタイトルで、オリックス・平野佳寿(33)と牧田和久(33)を紹介。とくに、サブマリン・牧田には興味があるらしく、「現在、メジャーではサブマリン投手がほとんど存在せず、思い浮かぶのはブラッド・ジグラーやピーター・モイランぐらいだ」と“希少価値の高さ”を強調していた。

 しかし、同メディアは好条件での米移籍には否定的な見解をまとめていた。

「ライオンズが設定してくる金額(入札金)が分からない」

「大谷のような若い天才ではない。プロデビューは2011年で、26歳だった。最近、先発から救援投手にコンバートされた」

 悲観的な理由は上述の通り。米国人ライターがこう続ける。

「メジャーリーグでは、サブマリンの需要が少ないんです。理由はいくつかあるが、平たく言えば、どの球団も観客数が落ち始めると、打撃陣を強化して人気回復をはかります。戦力で考えれば、投手強化は大切ですが、打撃重視の傾向があり、技巧派の緩いボールで勝負してくるタイプには、どうしても悲観的な見方をしてしまう」

 とはいえ、牧田が今春のWBCでも好成績を残している。「メジャーでも通用するはず」と日本中は見ているが、「牧田に興味を持っている」とされる米球団もまだ現れていない。

「ポスティングシステムには落札金が設定されます。大谷に対しては、その上限額の2000万ドル(約22億円)が設定されても、ほしいと思う米球団は参加してきますが、牧田に2000万ドルは払えません。そのへんで、様子見をしているようです」(前出・米国人ライター)

 今オフから適用される新ルールでは、25歳以下の海外リーグ所属選手と契約する場合は、マイナー契約となる。マイナー選手としてチームに合流し、その後の活躍をもって、新たにメジャー契約を結び直す。しかし、牧田は33歳のオトナであり、獲得するとなれば、最初から高年俸のメジャー契約を交わさなければならない。西武球団に対し、2000万ドルを支払い、さらに牧田個人に「100万ドル台の年俸で2年以上」という契約になれば、“大谷を獲得する以上の出費”となる。

 これが、国際試合での実績があるのに、牧田に関心を示す米球団が現れない理由だろう。

 プロ野球解説者がこう言う。

「牧田はポスティングシステムによる米球界挑戦を(西武に)認めてもらいましたが、契約できなかった場合はチームに帰還する約束だと聞いています。牧田は国内FA権しか持っていません。今年ダメなら、チームに残留し、落札金の掛からない来年オフに再挑戦する二段構えでは?」

 西武球団がポスティングシステムによるメジャー挑戦を許した理由の一つに、「国内他球団に行ってほしくない」というものもあった。また、本人のメジャー志望が変わらないと分かってからは、「海外FA行使=球団に入るカネはゼロ」、「ポスティングシステム=落札金」の見解も持ち始めたという。

 この「せめて、落札金くらいは…」の情報が本当なら、西武球団は入札金の金額を上限いっぱいまで設定して来ない可能性も高い。こんな声も聞かれた。

「12球団のなかで、もっともFAによる流出選手が多いのが西武なんです。去年までで、15人。FA元年の94年オフに工藤公康、石毛宏典といった金看板が出て行き、昨年は岸孝之を喪失しました。今季唯一ローテーションを守った野上亮磨(30)もFA権を行使し、移籍前提で他球団と交渉しています」(前出・同)

 西武首脳陣は牧田に残留の可能性が出てきたことを受け、喜んでいるという。貴重な戦力だからだ。だが、来年オフ、不名誉な流出選手の人数をさらに増やすことになるかもしれない。(一部継承略)

関連記事


スポーツ→

 

特集

関連ニュース

ピックアップ

新着ニュース→

もっと見る→

スポーツ→

もっと見る→

注目タグ