《そうだ。なりたいではなくて、なってもらいたいと思われる政治家になりたい》
国民的人気政治家、小泉進次郎・復興政務官(10月6日現在)が9月30日、都内講演会で参加者との質疑応答の席、突如“国盗り”を宣言したことから、自民党をはじめ永田町周辺は蜂の巣を突ついたような大騒動となっている。
これまで政権批判や“国盗り”については沈黙を守っていた進次郎氏。しかし講演会では、まず安保法制提案における安倍首相の理論的主柱である高村正彦副総裁を、名指しこそしないが痛烈批判した。
《国会で憲法違反だと言った憲法学者は、自民党の責任で呼んだのですよ。真摯に受け止めるのがあるべき姿なのに、一部のベテランは、『国民の安全に責任を持っているのは学者じゃなくて政治家である』と言った》
さらに、フジテレビで安保法制についてパネルを使用して説明した安倍首相にもダメ出し。
《パネルを使っていましたけど例え話は使わないほうがいい。安保、国防の問題は曖昧さが残る。すべてを例示することはできない。分かりやすくしようとしても限界がある》
加えて、安倍首相が企業に“賃金アップ”を求めたことに対しても嘲笑するようにこう語った。
《オバマ大統領がフェイスブックのザッカーバーグ(CEO)に“賃金上げろ”と言ったら“ふざけるな”で終わる。ところが日本ではそうなる。民間企業の賃金は企業の経営者が全社的な判断で決めるべき》
こうした講演の後、参加者からの質疑の際に飛び出したのが、冒頭のセリフだったのだ。
まるで安倍首相にケンカを売っているとしか思えない発言の数々。しかしなぜ、このタイミングなのか。進次郎氏の狙いはどこにあるのか。
政界長老はこう分析する。
「安倍政権の短命を、嗅覚の鋭い親爺ともども予言したということ。だから今、安保法制に対して明確、痛烈に批判し、10月7日の組閣で大臣入閣も噂されたのを、事前に“ノー”と突きつけるポーズを示した。それでも安倍が入閣させるかは別としてだ」
「親爺」とはもちろん、進次郎氏の“影の指南役”ともされる、小泉純一郎元首相だ。
政界長老はこう続ける。
「安保法制に対し何か言わないと『小泉、お前もか』と今後もレッテルを貼られる。さらに将来の総理総裁を盗るには今何をすべきか、親子鷹で8月から9月上旬に綿密な“国盗り”計画を練ったのだと思う」
その証拠に、計画完成時と思われる9月中旬以降、小泉父子は同時多発的に動いている。
純一郎氏は愛媛県松山市の講演会(9月16日)で安倍政権の原発再稼働政策を猛批判。一方の進次郎氏も同時期、地元の神奈川新聞(9月25日付)の単独インタビューに答え、安保法制批判、安倍批判を繰り返した。