1953年12月25日 のこと。マレーシアはペラク州南部のゴム園にて、農作業中だった16歳の少女が後ろから不意に何者かに肩を掴まれた。振り向いた彼女が目撃したものは農園で働く仲間ではなく、口から大きな牙を生やした3人の獣人の姿だった。獣人は笑うような表情で彼女に向かって「ガアガア」と鳴き声を上げてきたため、彼女は悲鳴を上げてその場から逃げ出したという。
彼女の証言によれば、この獣人は身長180センチ程度。腕と腰が毛深く、長い頭髪があり、眉や口髭も備えていたという。毛に覆われていない露出した肌の部分は異様に白かった。また、木の皮で作った腰巻きらしいものを身につけ、人間には理解できないが言語らしきものを発していたそうだ。服や言語らしき鳴き声を発しているところから、未確認生物のなかでもかなり知能の高い部類になるのではないかと思われる。
後に、ゴム農園から通報を受けて現場に出動したマレー市民軍もこの三人の獣人を確認している。しかし、獣人たちは川に飛び込んで対岸のジャングルの方へ去っていってしまったという。
この牙を備えた謎の獣人は1920年代から時折目撃されていたのだが、1957年に再び同じゴム農園にて目撃されたのを最後に証言は途絶えている。
果たしてこの獣人の正体は何だったのか。我々とはまた違う進化を遂げた亜人種だったのか?彼らはまだマレーシアの密林の中にいるのだろうか。
文:和田大輔 取材:山口敏太郎事務所