現在、新日本は真夏の最強決定戦『G1クライマックス』で地方に遠征している。シリーズ終盤は、8日の横浜文化体育館大会で首都圏に戻り、10日からの日本武道館3連戦でフィナーレを迎える。
「今年は両国国技館ではなく、日本武道館。ここを成功させたら、東京ドームを満員にするぐらいの価値があるんじゃないですか」
武道館3連戦について木谷オーナーに話を聞くと、自信ありげに語ってくれた。新日本は観衆を原則的に実数で発表している。東京ドームが札止めになったとしても、かつてのように5万、6万というざっくりとした数字にはならないという。ちなみに昨年の両国3連戦は、初日が7,495人(札止め)、2日目が7,495人(札止め)、升席(1マス4人がけ)を設けた最終戦は10,280人(札止め)と、計25,270人の動員に成功している。今年の1.4東京ドーム大会の観衆が34,995人だったことを考えると、12,000人から15,000人を動員できる武道館3連戦で札止めになれば、東京ドームの動員数を超える計算になる。
さらにすごいのが、最終戦のチケット料金だ。公式戦の最終戦が行われる初日と2日目の料金は、5,500円(2階スタンドB)〜15,500円(ロイヤルシート)という価格設定であるのに対し、優勝決定戦が行われる最終日は、ロイヤルシートが30,000円!最安値の2階スタンドBですらも9,000円という強気な設定となっている。プロレス女子に話を聞くと「懐は厳しくなりますが、今年のG1は今年しか見られないので価値はあると思います」と話してくれた。どの大会よりも先に最終戦のチケットを購入したという。
武道館大会に関しては、ケニー・オメガ対飯伏幸太がある2日目のチケットが残りわずか。最終日は既に完売した。横浜大会と武道館初日に関しても札止めに向けて、順調にチケットが売れているそう。新日本は11、12日の武道館大会に関しては、若干数ながら立見指定券(5,000円)の前売券を追加販売すると決定した。
「2019年から1月4日が週末になるので、東京ドームを札止めにするには最大のチャンス」と木谷オーナーが話していたが、2019年は金曜日、2020年は土曜日と1月4日が週末に当たるため、正月休みが長くなる可能性も高い。悲願の東京ドーム札止めも現実的な目標になってくるだろう。そのための伏線として、お盆の武道館3連戦はぜひとも札止めにしたいところ。今年のG1はツアーグッズも爆発的に売れている。過去28回の中で最大の利益を上げる可能性が高い。
しかし、内藤哲也がよく口にしているように、地方も含めて会場を埋めなければ、かつてのような全国的なブームを巻き起こすことができない。7月30日現在、19大会中11大会を終えて、札止めが6大会、満員が3大会。浜松大会と、高松大会は満員マークを付けられなかったが、昨年に続いて愛知県体育館大会(7.28)を札止めにできたのは大きい。名古屋はテレビ朝日と同じ時間に地上波がネットされている。その効果も大きいのだろう。
大阪城ホールのように再び名古屋レインボーホール(日本ガイシホール)でもビッグマッチを開催してもらいたい。今年のG1は、優勝戦線とは別に観客動員数にも注目していきたいと思う。
取材・文 / どら増田
写真 / 舩橋諄