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アントニ・ガウディ(1852-1926)は、スペイン・カタルーニャ地方のレウスに生まれ、バルセロナを中心に活動した建築家。バルセロナ市内に点在するカサ・ビセンス、グエル公園、カサ・バッリョ、カサ・ミラ、サグラダ・ファミリア聖堂など世界遺産に登録された建築群は、一度見たら忘れることのできないそのユニークな造形によって世界中の人々を魅了し続けている。
開催されているガウディ展は、長らく「未完の聖堂」と言われながら、いよいよ完成の時期が視野に収まってきたサグラダ・ファミリア聖堂に焦点を絞り、この聖堂に即してガウディの建築思想と造形原理を読み解いていく。
同展では、まず第1章で若き日のガウディの活動と時代背景をたどる。続く第2章では、ガウディの創造の源泉を「歴史」「自然」「幾何学」の3つのポイントから探る。
そして第3章では、ガウディが31歳から73歳で亡くなるまで人生を捧げたサグラダ・ファミリア聖堂の建設プロセスや、ガウディの遺志を引き継いだ人々にも光を当てている。また、彫刻や光と色の効果、建物の音響効果にも工夫が凝らされた、総合芸術としてのサグラダ・ファミリア聖堂にも迫っており、高精細映像やドローン映像が駆使された、建設の最終段階に向かうサグラダ・ファミリア聖堂を最新の映像で味わうことができる。第4章では、世界と日本におけるガウディの需要の歴史や、現代の建築家に与えた影響を紹介している。
西欧のゴシック建築やスペインならではのイスラム建築、生まれ育ったカタルーニャ地方の歴史や風土などガウディのルーツから、図面や膨大な数の模型を作ることで構想を練り上げていったガウディ独自の制作方法や、建築・彫刻・工芸を融合する総合芸術志向も存分に体験できる。100 点を超える図面、模型、写真、資料に最新の映像をまじえて、ガウディ建築が多面的に網羅されている。
稀有な才能の建築家としてのイメージが強いガウディだが、印象的な言葉を残し、多彩な色彩感覚の持ち主だったことにも気づかされる。もしかしたら、サグラダ・ファミリア聖堂の完成型に驚く人もいるかもしれない。一度現地を訪れたことがある人も、いつか自分の目で見たいと思っている人も、その思いがより強くなる展覧会となっている。
入場は日時予約推奨、東京会場の開催は9月10日(日)まで。8月25日(金)以降は休館日なし、10:00~20:00まで開館(入館は閉館の30分前まで)。
『ガウディとサグラダ・ファミリア展』
https://gaudi2023-24.jp/
東京会場:2023年6月13日(火)~9月10日(日)東京国立近代美術館 1F企画展ギャラリー
滋賀会場:2023年9月30日(土)~12月3日(日)佐川美術館 ※日時予約制
愛知会場:2023年12月19日(火)~2024年3月10日(日)名古屋市美術館