今季の広島は3・4月が五分(12勝12敗)、5月は勝ち越し(13勝11敗)と立ち上がりはまずまず。ただ、5月に球団最多タイの月間19勝をマークするなど絶好調の首位・阪神には一時9ゲーム差をつけられていた。
しかし、広島は翌6月(14勝9敗)、7月(13勝8敗1分)と2か月連続で月間勝率6割以上を記録するなど阪神を猛追すると、2019年以来の10連勝を飾った7月27日に阪神を抜き首位に浮上。翌28~31日に行われた直接対決は「2敗1分」と負け越したが、それでも首位と1ゲーム差の2位と好位置につけている。
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6,7月で一気に阪神との距離を詰めた広島だが、6月はチーム打率「.259」と打線が好調。坂倉将吾(月間打率.390)西川龍馬(.371)、田中広輔(.360)といった選手らが好調の原動力となった。6月14日・楽天戦では野間峻祥の一ゴロがベースに当たって大きく跳ね、右翼前に落ちるサヨナラ打になるなどラッキーな勝利もあった。
一方、7月はチーム打率「.242」と打線の勢いは衰えたが、チーム防御率「2.34」と投手陣が機能。特に、栗林良吏の代役として守護神を務めている矢崎拓也は「10登板・0勝0敗2ホールド7セーブ・防御率0.00」と1点も失わない圧巻の投球を見せた。また、7月26日・ヤクルト戦では7回表に栗林が危険球退場となった後、緊急登板した元守護神・中崎翔太が見事火消しを務めている。
セ・リーグは7月31日終了時点で首位・阪神、2位・広島(首位と1ゲーム差)は僅差だが、3位・DeNA(5.5ゲーム差)以下は差が開いている。優勝争いは阪神、広島の一騎打ちになりつつあるといえるが、迎える8月は広島の前に重大な問題が立ちはだかっている。
広島は8月1日~31日にかけて27試合が予定されているが、この内屋内球場での試合は5試合のみで、残り22試合は全て屋外球場での試合。一方、25試合を予定する阪神は屋内14試合、屋外11試合となっている。
球界では気温が高い屋外での試合はただでさえ選手の体力を消耗させる上に、ナイターの場合は日中の試合前練習も縮小を余儀なくされることが多い。コンディション調整が格段に難しくなることは想像に難くなく、これまでお互いを上手くカバーしてきた広島の投打が共倒れになってしまう可能性もゼロではない。
実際、広島は昨年8月も屋外22試合、屋内3試合を戦っているが、暑さによる疲労からか屋外は「9勝13敗」、屋内も「1勝2敗」と負け越している。2年連続で同じ轍を踏むようなら、優勝争いからの後退を余儀なくされることは確実だろう。
ただ、広島の選手が全員暑さに弱いわけではなく、中には8月に強い“夏男”のような選手もいる。野手では西川(2019年8月に月間MVP受賞)、投手では栗林(プロ2年間で8月失点ゼロ/今季8月1日・DeNA戦で初失点)が苦境を乗り切るためのキーマンになりそうだ。
屋外22試合中15試合は本拠地・マツダスタジアムで行われるため、ここでどう疲労を抑えるかが8月を左右しそうな広島。2018年以来5年ぶりのリーグ優勝へ向け最大の踏ん張りどころといえそうだ。
文 / 柴田雅人