立民・泉代表は、これまで「選挙協力」と「候補者調整」は別物という発言を、たびたび記者会見などで語ってきた。
当然、他の野党や記者からは、
「選挙協力の中に候補者調整があるのでは?」と疑問を投げかけられている。と、いうか一般的な日本語の理解では、「選挙協力に候補者調整は当然入る」となるのではないだろうか。
なぜ泉氏がこんなややこしい言い方をしているかというと、立民を支持している連合は「共産党とは水と油、協力や関係はありえない」からだ。
5月15日の泉代表は「選挙は独自でやるもの。共産党との選挙協力はやらない」と発言。
ところが7月4日、立民の岡田幹事長が「共産党と候補者の調整を行いたい。でもこれは共闘ではない」と、候補者調整はするけど共闘じゃありませんよと。
すると共産党は「これまでウチとは候補者調整はやらないと言っていたじゃない。それがコロッと変わったのはなぜ? キッチリ説明してほしい」と主張。
7月7日の記者会見で泉代表は、共産の志位委員長が「キッチリ説明してほしい」という求めに対して、どうするのかと問われ「共産党さんだけが対象ではないので、別に何もしない。説明もしない」と答えた。
7月11日、共産党の小池氏は「泉代表は共産党とは選挙協力はしない・候補者調整もしないと言っていた。それに対して立民の岡田幹事長が「共産党と候補者調整も行いたい」と、名指しで言ったのだから、整合性を説明してほしいといった。ところが泉代表は「説明はしない」というのは、あまりに誠実さを欠いているのでは?」
普通これはどうみても、共産党側が正しいように思える。さらに共産の小池氏は「候補者調整はするけれど、選挙協力はしないとは、共産党は一方的に候補者を降ろしてくれということになるんじゃないか? 当然そんなのは受け入れられない」と、いささか怒り気味で会見をしている。
これに対して泉代表は「私は(共産党は一方的に候補者を降ろしてくれ)なんてことを発言したことはない」
この答えに記者から「発言はしていないが、共産党は一方的に候補者を降ろしてくれという思いはあるか?」と問われ、「(質問の)意味がわからない」とちゃんと答えなかった。
このやりとりに関して維新の藤田幹事長は「これは共産党が正しい。立民は都合が良すぎる」と言い、国民民主の榛葉幹事長は「連合から支持をもらっているんだから、連合は非共産。共産党との関係を明確にしないと、我々も立民とはテーブルにつけない」
と、立民はいろいろな野党から総スカンである。これじゃ選挙協力や候補者調整どころではなく、立憲民主党という政党の信用が問われているような気さえする。
プロフィール
巨椋修(おぐらおさむ)
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、42歳で映画監督。社会問題、歴史、宗教、政治、経済についての執筆が多い。
2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。陽明門護身拳法5段。