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「おぐらが斬る!」日本人はなぜゴキブリを怖がるのか?

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日本中の嫌われものゴキブリ。略してG。知り合いの20代女子はゴキブリを見かけると、気を失いそうになり、最近引っ越したアパートにゴキブリが出るというので、引っ越したばかりのアパートを引き払い別のアパートに移り住んだ。

なぜ人はそこまでゴキブリを嫌うのか? 答えの1つとしてゴキブリが、人間と一緒に暮らしているということがある。『仙と俗』という言葉があるように、日本人は山に住む者を仙人のように「聖なるもの」と見なすところがあるのだ。

例えば人と一緒に暮らす、イエネズミやドブネズミは穢れたものとし、触るものイヤだという人が多い。しかし山に暮らすリスは「かわいい」となりペットにする人も少なくない。ネズミとリスは同じげっ歯類。顔もほとんど変わらない。違うのは住んでいる場所はどこかだけだ。

人と暮らすイヌは友達扱いだが、山に暮らすオオカミには畏敬の念を持ち、神として信仰している人もいる。

野原に住むカブトムシやクワガタムシは、お金を払って購入する人がいるが、ゴキブリは徹底して嫌う。

その理由の一つが人間の住居にいるかいないかだ。人間と同じ住居に住む生き物は『俗』でり、ケガレなのだ。

一説によるとゴキブリは人類が火を使いだしたときから、共生するようになったという。実に長い付き合いなのだ。ゴキブリという呼びかたは、明治時代になって『生物学語彙』という書物に本当の名称の「御器噛り(ゴキカブリ)」のフリガナを「ゴキブリ」と誤記してしまったからだという。ゴキだけに。

ゴキブリには他にも多くの呼びかたがあったが、一般的に多く使われていたのがアブラムシであった。他にもある地方ではコガネムシと呼んでいた。

童謡の「♪こがね虫は~金持ちだ~ 金蔵た~てた蔵たてた♪」の正体はゴキブリという説がある(諸説あり)。ゴキブリがよく出る家=暖かく食べ物がたくさんあるお金持ちの家という意味なのかも知れない。

さて話を戻そう。なぜ日本人はここまでゴキブリ嫌いになったかだ。ひとつには日本人の衛生観念が異様なほど強いことにある。

ゴキブリというのは、人間の食べ残しや腐ったものを食べる。住んでいる場所は、普段掃除されないキッチンの裏側や排水口など暗くジメジメしたところで、ゴキブリが歩くとバイキンも一緒にまき散らされるという汚いイメージがある。

そしてあのスタイルやヌメヌメした感じ、やたらと素早い動き、強い生命力などなど。

実際のところ、ゴキブリは害虫だが、他の害虫に比べると大して害はないと言われている。しかしゴキブリほど日本人に嫌われている虫はないのではないだろうか? もしかしたら日本人は自らを「ゴキブリ=こわい」と洗脳してしまったのかもしれない。

かくいう筆者も大の苦手である。しかしなぜ彼らは、叩き潰そうと追い詰めると、人間に向かって飛んでくるのであろうか?

プロフィール

巨椋修(おぐらおさむ)
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、42歳で映画監督。社会問題、歴史、宗教、政治、経済についての執筆が多い。
2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。陽明門護身拳法5段。

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