承認欲求が満たされていると、自信がつき人間関係が安定する。
しかし満たされずにいると、自分は認められない、必要とされない人間だという無力感や劣等感をもってしまい、自己肯定感が下がってしまう。
動画配信ができるSNSが登場してから、バイトテロなどのバカッターが次々と現れるようになった。
理由は「みんながおもしろがって『いいね』を押してくれるから」である。仲間や友だちも「すごいね~」と笑ってくれる。その人の自己顕示欲と承認欲求は満たされる。
SNSをやる人にとって『いいね』の数やフォロワー数が承認欲求を満たす目安となっている場合も少なくない。フォロワー数と『いいね』が多いイコール「自分は認められている。人気がある」というわけだ。
回転寿司屋で、醤油さしをペロペロ舐めて、悪い意味でバズった高校生が出た。するとマネをして逮捕される者が出てくる。
似たようなものに迷惑系ユーチューバーという人たちがいるが、彼らの目的は承認欲求と自己顕示欲プラス収益化だ。
ある意味、醤油さしペロペロくんやバカッターたちは、金も取らずに承認欲求と自己顕示欲を満足させるためだけにやっているのだ。多額の賠償金や逮捕という危険をもろともせず。
とはいえ、やっている本人は賠償金や逮捕の危険なんて考えたこともないに違いない。それだけの知性があればそんなバカなことはしない。
そしてついに、コンビニ強盗を生配信する人まで出てきた。
捕まったのは旭川市の無職・相原強志容疑者31歳。相原容疑者は、
「コメント止まっているよ! どんどんコメントして! もっと回してティックトックとかでも流してみんな!」
などと強盗しているところを楽しそうに実況していたのだ。しかも女性店員を刃物で刺したらしく店員のシャツから血が見て取れる。逮捕されたときの罪名は殺人未遂。
肥大し歪んだ承認欲求と自己顕示欲を満たすために、この男は懲役5年~無期という重罪を犯したわけだ。
岸田首相襲撃の木村容疑者も、歪んだ承認欲求と自己顕示欲を満たすために事件を起こしたのではないだろうか?
すでに自殺する姿を生配信する人も出てきている。そのうち人を殺すところや強姦などを生配信する者も出てくるだろう。
ネットやSNSは、そんなパンドラの箱を開いてしまったのかもしれない。
プロフィール
巨椋修(おぐらおさむ)
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、42歳で映画監督。社会問題、歴史、宗教、政治、経済についての執筆が多い。
2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。陽明門護身拳法5段。