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同作は、泥棒という裏稼業を持つカフェ店員の青年・木梨栄木(長妻)が、1日でも早く世界が終わることを願っている婦人警官の眉村ゆずき(宮澤)の家に忍びこんで、現金の入った封筒を盗んだことから始まる不可解な出来事を描くサスペンスコメディ。長妻は本作が映画初主演となる。
公開を前に、長妻に作品の見どころなどを聞いた。
ーー奇想天外なストーリーで、とても面白い作品だと思いました。ご自身は今回の作品をどんな風に見ていますか。
長妻:日常の中の幸せとか、普段何もない人たちの秘めた想いとかを身近に感じれるような面白い内容になっていると思います。
ーー演じた主人公の木梨についてはどんな印象を持ちましたか。
長妻:自分が決めたことを全うするところ、ちゃんと分析してやるところが自分と似ているなと思いました。あと、僕自身も、普段から結構奇想天外なことを考えていたりするんです。他の作品だとそういう一面を見せないようにしているんですけど、この作品ではそれを抑えないようにして演技をすることができました。
ーー印象的だった共演者はいますか?
長妻:犬のななちゃんです。木梨は豆柴の天然くんという犬を飼っているんです。犬はもともと好きだし、タレント犬というのもあるんですけど、一緒に撮影をすると本当にいい子で(笑)。
ーーここ最近、舞台より映像での仕事が増えたように感じます。
長妻:はい。これまで映画はあまりやっていなかったんです。でも、映像のお芝居と舞台のお芝居は少し違うなということを以前から結構考えていたので、映画をやってみたいと思っていたんです。今回、映画を何本か撮影して、すごく役者として勉強になりました。あ、なるほどって。
ーー舞台のお芝居とどちらが難しいですか。
長妻:舞台は舞台ですごく難しさがあるんです。舞台は一回だけでなく、同じ演技で何公演もこなしていくので、モチベーションを保つ難しさがあります。気持ちの部分とか、同じ演技を繰り返すうちに、その芝居そのものに慣れてきたりして、新鮮なお芝居が失われてしまうことがあるんですけど、それをどうコントロールして新鮮なお芝居を毎回見せられるようにするかを考えてやらないといけないんです。自分との戦いという感じがします。
ーー映画の場合は逆に映像ならではの難しさを感じたのでは。
長妻:映像は監督や共演者とのコミュニケーションがすごく大切だなと感じることが多かったです。自分が出ていないシーンの撮影は基本見れないし、どんな風に画が繋がっているのかとか、そういう面を考えたりする難しさがあります。でも、今回映像のお芝居がすごく楽しかったので、もう少し自分でも映像での演技を勉強して、また映画を頑張りたいなって思います。
ーー今後の役者としての方向性についてはどんな風に考えているんですか。
長妻:今、俳優だけでなく、音楽活動とかバラエティとか、いろんなことをさせてもらっているんですけど、最近はその中で何か一つ軸を見つけて頑張ることも大事だなと思うようになりました。自分としても一つのことに取り組む方が得意だし、一つのことを極めることで他のことにもいい影響が出るのではないかって。
ーー役者業に限らずですけど、目標にしている人とかはいるんですか。
長妻:なかなかいないですね……。強いて言えば小田和正さんです。
ーー小田和正さん?それは意外な答えです。小田さんのどんなところに惹かれるんですか。
長妻:気張っていない感じ、ナチュラルな感じがいいなって思うんです。僕は仙人のような人になりたいんです(笑)。小田さんは変な力の入っていない感じが僕の中では仙人みたいだなって思うんです。自然に話すとか、自然な感じに見せるのはすごく難しいこと。それをできる小田さんはすごいなって。自分は今までお芝居をがむしゃらにやってきたんですけど、人の心を動かせるような人になりたいと常々思っています。そのために必要なのは一生懸命やることなんですけど、一生懸命やることをもっと自然体でできればいいなと思っています。
ーー小田さんを聴いている世代ではないと思うのですが、その小田さんの名前がいきなり出てくるのがとても意外です。結構オールドな世界観が好きなんですか。例えば好きな映画とかも古い作品が好きとか。
長妻:好きな映画ですか?『いま、会いにゆきます』とか好きです。実はオレンジレンジさんに7ORDERへ楽曲を提供して頂いたことがあるんです。その時のオレンジレンジさんのツアーで聴いた「花」という曲がすごく好きになって、周囲に聞いたら、映画の主題歌だって教えてもらって。それで映画を観たらすごく良かったんです。儚い感じがいいなって。ピュアな作品を見るのは好きです。
ーー今回の作品ですが、7ORDER のメンバーには見せたんですか。
長妻:ちょっとだけ見せました。
ーー長妻さんは7ORDER の中ではどんな立ち位置なんですか。
長妻:僕はグループの中では結構“愛され末っ子”ポジションです。“愛され弟キャラ”のような感じです。7つ上のメンバーもいたりして、年下担当だなって自分でも思っています。
ーー周囲が年上だとみんな優しくしてくれるのでは。
長妻:はい。だから舞台とかも結構見に来てくれたりします。
ーープライベートのことも聞きたいのですが、オフの時はどんな過ごし方をしているんですか。
長妻:オフは寝るか楽器の練習をするかのどちらかです。それはそれですごく楽しいです。練習しないと不安になってしまうので。
ーー楽器が趣味のような感じになっているのかもしれないですね。例えば同世代の人がそうであるように、ショッピングが好きとか、そういった一面は持っているんですか。
長妻:あんまり物欲はないです。
ーー欲しいものとかないんですか。
長妻:時間ですかね。
ーー渋いですね(笑)。それでは最後に改めて作品の見どころを含め、ファンにメッセージをお願いします。
長妻:今回の映画はみんなに観て欲しい作品ではあるんですけど、特に人生に悩んでいない人に観てもらいたいって思っているんです。
ーー悩んでいない人に観てもらいたい?
長妻:はい。僕は悩んでいる時というのは、悩んでいない時に対して、実は物事がうまく進んでいる時だと思っているんです。ちゃんと今、自分がやるべきことが見えている時で、だからこそ悩むのだと。仕事がうまくいかなくて悩んでいる人がいたとしても、どうすればいいかを考えるだけ。でも悩んでいない人というのは悩みがない分、成長がないと思うんです。そういう人に観てもらえれば、今回の映画は、きっと何かを考えたり、何かをしようというきっかけになるのではと思っています。ぜひ公開を楽しみにしていて下さい。
(取材・文:名鹿祥史)
スタイリスト:カワセ136
ヘアメイク:伊藤里香
『犬、回転して、逃げる』
脚本・監督:西垣匡基
配給宣伝:アイエス・フィールド
企画・製作:TUFF STUFF
出演:長妻怜央(7ORDER)、宮澤佐江
なだぎ武、中村歌昇、三戸杏琉、小坂涼太郎、ワタリ119、仁科亜季子/登坂淳一
2023年3月17日(金)シネ・リーブル池袋、シネ・リーブル梅田ほか全国順次公開
2022年/日本/カラー/82分/ビスタサイズ/5.1ch/G
Ⓒ2023映画「犬、回転して、逃げる」製作委員会
公式WEBサイト http://is-field.com/inukaiten_movie/