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動物虐殺と「人を殺してみたかった」という殺人犯の関係

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 また「誰でもいいから殺したかった」という事件が起こってしまった。埼玉県の中学校で、侵入してきた17歳の男子高校生に教師が切られてしまったのだ。

 まずナイフを持った高校生に対抗して、子ども達を守った教師たちには頭が下がる。筆者は空手や総合格闘技などをベースにした「陽明門護身拳法」という護身術を教えているが、現実的な話、ナイフを持った相手を制圧するのは、格闘技経験者でも、とても危険で難しいのだ。

 秋葉原殺傷事件のとき、犯人を制圧・逮捕した警官も警棒で対応していたが、防刃チョッキの上から数カ所刺されていたくらいだ。

 だから格闘技の技術を習得していたとしても、ナイフなど武器を持った相手にはまずは逃げること、守るべき人がいる場合はその人を逃がしたうえで、闘うのは最後の最後と教えている。

 さて、この社会にはいつの時代でも一定数の「人を殺してみたい」という願望をもつ人が出てくる。

 猟奇殺人犯や連続殺人犯は、子供時代に「動物虐待・動物虐殺」をやっていたという例がとても多い。

 2002年から2017年までの間に動物虐待で検挙された25名の虐待犯では、25名中21名が猫を対象にしていたというデータがある。飼い猫にせよ野良猫にせよ、野外を歩き回り、人懐っこい猫は狙われやすいらしい。

 1997 年に起きた「神戸連続児童殺傷事件」の「酒鬼薔薇聖斗」こと少年A(当時14歳)が,殺人前に動物を虐待していたことは有名だ。

 学校に侵入し児童を殺した事件としては、2001年に起きた「池田小事件」がある。児童8人が殺され、児童13人・教師2名傷害を負う事件であった。この犯人も小学生時代、犬や猫を新聞紙にくるんで燃やして殺すなど、動物虐待を行っている。

 2014年に起きた「佐世保高1同級生バラバラ殺人事件」では、加害少女が事件前に「猫を解剖しているうちに、人間で試したいと思うようになった」と供述している。

 このように子供時代の動物虐待は、凶悪犯罪の予兆ではないかという説は古くからある。

 さらに動物虐待をする人は、自分自身が親などから虐待を受けてきた人がとても多いという指摘もある。

 だとすると、連続殺人や猟奇殺人を減らすには、児童虐待を防止することで、それが回りまわって動物虐待を少なくすることに繋がるのではないだろうか。

 殺人ほどではなくても、身体虐待を受けた少年が、一般高校生が1%に対して、少年院の入院者は、19.8~25%、心理虐待だと、8.6~11.9%も多いというデータがある。

 児童虐待は、将来犯罪者を生む原因でもあるのだ。

プロフィール

巨椋修(おぐらおさむ)
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、42歳で映画監督。社会問題、歴史、宗教、政治、経済についての執筆が多い。
2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。陽明門護身拳法5段。

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